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動物のリハビリテーションってなに?

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動物のリハビリテーション

水中トレッドミルでがんばるグレース。
生まれつき脊椎の奇形があり、数か月前に手術を受けました。

そもそも、動物のリハビリテーションとは何でしょうか?

人間なら、骨折や人工関節の手術を受けたり、脳出血、神経の病気を経験したりした方の多くが、理学療法(フィジカルセラピー)を治療の一環として受けることになります。

ところが、獣医学の分野では、理学療法(フィジカルセラピーという用語を動物に対しては使えないので、リハビリテーションと言います)は近年までほとんど使われていませんでした。

確かに、人間に比べると、動物たちは回復が早いことが多いです。去勢手術をしても、数時間後には歩いています。でも、手術後にリハビリテーションを行うと、回復がさらに速やかになることがわかってきました。

例えば、膝十字靭帯の損傷は、犬の急性整形外科的疾患では最も多い疾患ですが、手術による治療が主流となっています。手術後、なるべく早くアイスパックで冷やしたり、関節の屈伸やマッサージ、レーザー治療、鍼治療などを行い、2週間後の抜糸が終わってからは、運動療法や水中トレッドミルを治療に取り入れることにより、使わないことで委縮した筋肉や関節の可動域が正常範囲内に戻るようになります。

動物のリハビリテーション

バランスディスクという器具を使って
加齢とともに弱くなった後肢を鍛える
チワワのミスター・チップス。
15歳です。

また、膝十字靭帯の損傷は手術が主流と書きましたが、高齢であったり、心臓や他の疾患があって、手術を適用できない場合もあります。そういう犬にも、リハビリテーションは非常に有効です。

13歳で両方の膝の靭帯を傷めたけれど、リンパ腫と脊椎の損傷の病歴があり、おまけに肥満、手術でなくリハビリと鍼で症状を軽減できないかという大型犬の治療に当たったことがあります。最初は痛みで不機嫌、隙あらば噛みつこうという不穏で攻撃的な態度だったのが、鍼とマッサージ、水中トレッドミルで毎週治療し、半年たつ頃にはリハビリに来るとしっぽを振ってくれるようになったのです。体重も落ち、歩行困難も改善しました。

このように、動物のリハビリテーションは、手術後(整形外科手術、神経外科手術)、手術が適用できない整形外科や神経外科の疾患、慢性の関節炎や脊髄の疾患、痛みの軽減、加齢による筋肉の衰え、肥満など、さまざまな症状を改善することができます。

次は、どのようなテクニックを使うのか、詳しくご紹介したいと思います。

掲載:2020年4月 文・写真:Masami Seplow, DVM CVA CCRP

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