サウス・レイク・ユニオンは、その名のとおり「レイク・ユニオンの南」、ダウンタウン・シアトルの北端の道路 Denny Way とレイク・ユニオンの間の地域のこと。2000年まではさびれた倉庫街でしたが、商業地域と高速道路に近く、湖も側にある恵まれた土地柄が注目され、再開発が進み、新しい地域として賑わっています。
開拓者デヴィッド・デニーが入植し、現在の Denny Way 付近一体の土地の所有権を宣言したのは、1953年のこと。次に入植したトーマス・マーサーは、レイク・ワシントンやサーモン・ベイ、ピュージェット・サウンドが将来的に運河で結びつく可能性を期待して湖を「レイク・ユニオン」と名付けたとされています。また、ボーイング社製航空機が登場した1916年以降、レイク・ユニオンはノースウエストにおける水上飛行機の拠点の一つでもあり、今日では年間10万人の利用客を誇る、全米で最も成功した商業用水上飛行機ケンモア・エア社のターミナルがあります。
1975年に世界的に有名なガン研究所であるフレッド・ハッチンソン・キャンサー・リサーチ・センターがオープンし、1990年代までは静かな産業地域・住宅地の一つでした。2000年代初期にマイクロソフト社の共同創業者の一人であるポール・アレン氏がこの地域の土地を買収し、バイオテクノロジー産業の拠点として開発を開始。2007年12月にダウンタウン・シアトルのウエストレイク・センターとフレッド・ハッチンソン・キャンサー・リサーチ・センターを結ぶ路面電車(ストリートカー)が開通し、2010年にアマゾンがこの地への本社移転を発表すると、本社周辺を中心に多くのレストランやショップが出店するなど、再開発ブームが始まりました。
2010年にはレイク・ユニオン・パークが整備されて再オープン。園内に移転したシアトル歴史産業博物館(MOHAI)が2012年12月にオープンし、2010年後半には大規模な再開発によってかつての面影がなくなり、平日は特に「アマゾニアン」と呼ばれるアマゾン社員でにぎわっています。
サウス・レイク・ユニオンは米国グリーンビルディング評議会(USGBC:US Green Building Council)が制定した建物に対する環境評価制度の一つ LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)に指定された建物がシアトルで最も多いことでも知られており、サステナビリティを重視した環境もビジネスの活性化を後押ししています。