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シアトルの注目ニュース&話題:2025年2月10日(月)〜14日(金)

2025年1月のシアトルダウンタウン:地元住民と観光客の増加、オフィスワーカーの回帰

スマートフォンのトラッキングから人の動きを分析する米国企業 Placer.ai が提供した新しいデータで、2025年1月にシアトルのダウンタウンを訪れた人は約200万人で、2019年1月の94%に達し、2024年1月から14%増加したことがわかりました。また、アパートの入居率は4%増加し、ホテルの需要は5%増加しました。訪問者数は11%増加し、特に地元の訪問者が主導しています。

シアトルの連邦判事、性別確認治療への連邦資金削減計画を一時的に差し止め

シアトルの連邦裁判所で、トランプ大統領の性別確認治療への連邦資金削減計画が一時的に差し止められました。トランプ大統領は、19歳未満の若者への性別確認治療(gender-affirming care)を提供する病院や医学校への資金を停止する大統領令を発令していました。しかし、ワシントン州、オレゴン州、ミネソタ州の司法長官と3人の医師が、この命令がトランスジェンダーの個人に対する差別であり、州の医療権限を侵害するとして訴えを起こしました。APシアトル・タイムズによると、シアトルのローレン・キング判事は、トランプ政権の命令を一時的に差し止める仮差止命令を出し、これにより一部の病院は若者への性別確認治療を再開しました。これは、メリーランド州でも同様の判断が下されたことを受けたものです。訴訟は続いており、今後の連邦資金削減の行方は不透明です。

トランプ政権による連邦資金の制限 シアトル地域の研究機関にも影響

シアトルを拠点とし、革新的な技術やプログラムを開発し、グローバルな公衆衛生の改善を目指す非営利団体PATHは、トランプ政権による連邦資金の制限に対応するため、従業員数を削減することを発表しました。影響を受ける従業員数やシアトルでの人数は公表されていませんが、PATHはシアトル地域で200人以上、世界で3,000人以上を雇用しています。連邦資金の制限によって影響を受けるシアトル地域の研究機関は多く、GeekWire によると、シアトル地域の組織だけで、2024年度第3四半期終了時点で11.3億ドルのNIH資金が提供されました(CBREリサーチ調べ)。

シアトル地域の物価上昇 2024年第四半期は住宅コストなども依然として高騰

2024年第4四半期の生活費指数(COLI: Cost of Living Index)のプレスリリースによると、調査対象となった254の都市圏において、専門職・管理職レベルの生活を維持するための課税後のコストには大きな差が見られました。生活費指数(COLI)は、全米平均を100とする指標で、各都市の住宅、公共料金、食料品、交通、医療、その他の雑貨・サービスの6つのカテゴリでの生活費が全米平均と比較してどの程度高いか低いかを示しています。それによると、ニューヨーク(マンハッタン)では生活費が全米平均の2倍以上に達した一方、イリノイ州ディケーターでは全米平均を20%以上下回る水準となりました。シアトルでは依然として調査対象59品目のうち13品目が10%以上の値上がりを記録したと、シアトル・タイムズが報じています。この記事では、シアトルで値上がりが顕著だった牛ひき肉などの食品、衣料品、食器洗い機修理の最低作業料、美容院での女性用ヘアカット、ヨガクラスの単発受講料、マクドナルドのクォーターパウンダー・チーズなどの値上がりが紹介されていますが、住宅コストは全米平均を112.1%上回る指数212.1と依然高水準で、男性向けヘアカットは平均48.66ドルと全米最高額でした。

ブルー・オリジン、従業員の約10%にあたる1,000人以上の解雇を発表

アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が創業した宇宙開発企業のブルー・オリジン(本社:ワシントン州ケント)は、従業員の約10%にあたる1,000人以上を解雇することを発表しました。同社は今年1月に New Glenn(ニューグレン)ロケットの初の打ち上げを行い軌道に到達することに成功したばかり。AP 通信CNN などによると、デイブ・リンプ CEO は、急速な成長により官僚主義が増し、効率が低下したため、組織の効率化を図ると説明しています。解雇された従業員には退職金やサポートが提供されます。ブルー・オリジンはNASAとの契約や新型ロケットの定期的な打ち上げを継続する意向です。

シアトル警察、ロマンス詐欺に対する注意を呼びかけ

シアトル警察が、ロマンス詐欺に対する注意を呼びかけています。”sweetheart scams” とも呼ばれるこの詐欺は、出会い系アプリやウェブサイト、またはSNSを通じて実行されるもので、詐欺師(scammer)は偽のプロフィールを作成して被害者を物色することがわかっています。アメリカの引退した人をサポートする AARP(American Association of Retired Person)の調査によると、高齢者は金銭が関わる詐欺の被害に遭いやすく(elder financial exploitation:EFE)、被害総額は毎年推定283億ドルにもなり、そのうち28%は面識のない人物によるもので、残る72%の加害者は、友人・家族・介護者によるものとなっています。

パンデミックによる学習の中断の影響 ワシントン州の生徒約90%は数学・読解の成績が回復せず

ハーバード大学、スタンフォード大学、ダートマス大学の研究者が2024年春に実施されたテストに基づく Education Recovery Scorecard(教育回復スコアカード)を分析した結果、2020年にCOVID-19のパンデミックによる学校閉鎖による学習の中断の影響が続いていることがわかりました。シアトル・タイムズによると、ワシントン州の生徒の約90%は数学と読解の成績が2019年の水準を下回っており、数学回復度は全米34位、読解回復度は全米26位でした。全国平均では、平均的な生徒が読解と数学でそれぞれ1学年分遅れている状況です。しかし、イサクア学区やエベレット学区など、家庭教師や夏季プログラムなどの介入策が効果を上げている兆しが見られる学区もあります。

全米で卵の価格高騰続く 供給不足で購入制限する店も

鳥インフルエンザの影響による卵の供給不足を受け、全米のスーパーマーケットや会員制店舗の一部が卵の購入制限を実施していると、ABC などが報じています。一例として、Trader Joe’s は1ダースまで、Costco は3パックまで、Whole Foods は3パックまで、Sprouts Farmers Market は4パックまで。なお、同じスーパーマーケットや会員制店舗でも、店舗や地域によって異なるため、最新情報は各店舗で確認するのが確実です。

Tri-Union Seafoods がツナ缶を自主リコール ボツリヌス菌汚染の恐れなどが理由

Tri-Union Seafoods が、Select Genova®、Van Camp’s®、H-E-B、Trader Joe’s® のブランド名で販売されているツナ缶(canned tuna)を、ボツリヌス菌汚染の恐れがあることなどが理由で自主リコールすると発表しました。FDA(食品医薬品局)によると、この自主リコールは、一部の製品に使用されている「イージーオープン」プルタブ式の缶蓋に製造上の欠陥があり、製品の密封性が損なわれる可能性がある(特に時間の経過とともに)との供給業社からの通知を受けて実施されているものです。密封性が失われると、漏れが発生する可能性があるほか、最悪の場合は致命的な食中毒を引き起こす可能性のあるボツリヌス菌に汚染される恐れがあります。FDAは、「外観や臭いに異常がなくても、該当製品を使用しないよう警告する。また、体調不良を感じた場合は、直ちに医療機関を受診すること」と呼びかけています。現在のところ、回収対象の製品に関連した健康被害の報告はありません。

Walmart によると、自主リコール製品はワシントン州の店舗でも販売されていたとのことです。

CDC(米国疾病予防管理センター)によると、ボツリヌス症(botulism)は神経を攻撃する毒素によって引き起こされ、呼吸困難、筋肉の麻痺、さらには死に至ることがあります。この毒素は、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)およびそれに関連する細菌によって作られます。

マリナーズのホーム開幕戦 イチロー氏が始球式

シアトル・マリナーズは10日、3月27日に本拠地 T-Mobile Park で行われるシーズン開幕戦で、イチロー氏が始球式を務めると発表しました。イチロー氏は先月、日本人・アジア人選手として初めて米国野球殿堂入りを果たし、現役時代につけた背番号「51」がマリナーズで永久欠番になりました。

ワシントン州免許局 2月10日から2月17日までオンラインの一部サービスを停止  システムのアップグレードのため

ワシントン州免許局のライセンスオフィスとコールセンターが、システムアップグレードのため、2月14日から17日まで休業します。これに伴い、2月10日から17日の間は、オンラインの運転免許証および車両/ボートのライセンスサービス、税率計算と燃料税のサービスが停止されています。車両のタブのリニューアルも、2月18日までできません。

ワシントン州など22州の司法長官、学術機関や科学機関の関節費用払い戻し率の引き下げ撤回求めトランプ政権を提訴

ワシントン州は10日、トランプ政権による全米の学術機関や科学機関の医療研究資金削減に関する訴訟への参加を発表しました。22州がマサチューセッツ州の連邦地方裁判所に提出したこの訴訟は、トランプ大統領が発表した「間接費用(indirect cost)の払い戻し率を15%に削減する」という決定に異議を唱えるもので、ブラウン司法長官は声明で「トランプ大統領は、前任期に試みたことを繰り返そうとしており、その試みは違法であることを政権は理解しなければならない」「間接費用の払い戻しは研究機関によるバイオメディカル研究を支えるための実験室、教員、インフラ、光熱費などの費用を補うもので、これらなしでは、ワシントン州が長年にわたりリーダーとして牽引してきた人の命を救う医療研究や画期的な研究が危険にさらされ、公共の健康や医療の進展に悪影響を与える可能性がある」と述べています。訴訟では、トランプ大統領の命令は行政手続法(Administrative Procedure Act)に違反し、トランプ氏の前政権で連邦議会が制定した法令(NIHが間接費用の払い戻しに対してカテゴリ別または無差別な変更を要求することを禁ずる)を無視していると指摘されています。

この訴訟は、先月トランプ政権が発表し、2日間で撤回した連邦機関への資金凍結措置と密接に関係しています。

  1. 2025年1月27日
    トランプ大統領が、すべての連邦機関に対し、すべての連邦補助金の支払いおよび関連する機関活動を一時的に停止することを命じる大統領令に署名。
  2. 2025年1月27日
    予算管理局(OMB)が、数千の連邦プログラムへの資金凍結を求めるメモを発表。このメモは、トランプ政権の大統領令に従い、すべての連邦機関に対して資金支出の一時停止を指示しました。
  3. 2025年1月28日
    22州の司法長官がOMBのメモに対して訴訟を起こし、資金凍結の実施を差し止めるための仮差止命令(TRO)を求め、同日、連邦裁判所がOMBメモの実施を一時的に停止する命令を出しました。この停止命令は、メモの実施が実行される前に下されました。
  4. 2025年1月29日
    トランプ政権がOMBメモを撤回。OMBメモに基づく資金凍結措置が撤回され、これにより連邦機関への資金凍結は実施されなくなりました。しかし、撤回後もその影響は完全には解消されておらず、一部の連邦機関では、依然として資金へのアクセスに制限があり、必要な予算を使用できない状況が続いているとの報じられています。
  5. 2025年2月10日
    米国地方裁判所のジョン・マコーネル・ジュニア判事は、トランプ政権に対し、凍結されていたすべての連邦資金を即時に復活させるよう命じました。この命令には、国立衛生研究所(NIH)への資金や、「インフレ削減法」(Inflation Reduction Act)および「インフラ改善・雇用法」(Infrastructure Improvement and Jobs Act)に基づくプログラムへの資金も含まれています。この決定が下されたのは、トランプ政権が先月29日の裁判所命令に違反し、資金凍結の解除を実行していなかったことが判明したため。判事は、連邦資金の広範な凍結は憲法違反の可能性が高く、重大な損害を引き起こしていると強調しました。トランプ政権は、この判決に対して控訴する方針を発表しています。(politico.com

トランプ政権によるカナダの鉄鋼とアルミニウムに対する関税 ワシントン州への影響

トランプ大統領は、カナダとメキシコに対する関税の30日間停止からわずか1週間後、鉄鋼とアルミニウムに対して25%の関税を導入することを発表しました。カナダはアメリカにとって最大の鉄鋼とアルミニウムの供給国で、2024年にはアメリカの鉄鋼輸入の23%、アルミニウム輸入の60%を占めており、カナダは輸出の90%をアメリカに依存しています。カナダのイノベーション・科学・産業大臣フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ氏は、カナダの金属がアメリカの重要な産業を支えていることを強調し、北米の競争力向上に寄与していると述べました。また、ケベック州のフランソワ・ルゴー州首相は、アメリカは中国から鉄鋼とアルミニウムの供給を受けることを避けるべきだとし、両国間の自由貿易協定の再交渉を求めています。ワシントン州の主要産業である航空宇宙産業や造船業、建設業などは鉄鋼とアルミニウムを必要としていることから、この関税はワシントン州経済に大きな影響を与える可能性があります。

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