先月25日にミネアポリス市警がジョージ・フロイドさんの首に膝を9分近く置いて圧迫して死亡させてから、警察による黒人に対する激しい差別や暴力、社会の根深い構造的人種差別に対する抗議活動が全米で続いています。
ソーシャルネットワークでは警察官が武力を行使している動画が多数拡散されていますが、今週浮上したのは、シアトルの東のベルビュー市でベルビュー市警の警察官が黒人女性を拘束して歩道に転倒させ馬乗りになり、背後から腕で首を絞める行為「チョークホールド」(chokehold)をする様子をとらえた動画。
ベルビュー警察がこの件について最初に出した声明によると、この動画はファクトリアモールで2018年12月に撮影されたもので、女性が警察に停車させられたのは、運転していた車の「所有権の書き換えを行っていない(タイトルのトランスファーをしていなかった)」というワシントン州法違反の疑いがあったため。また、女性は身分証明書を提示する、両手を出す、車から降りるといった、警官の合法的な命令をすべて拒否し、警官がバッグに手を入れないように4回命令したにもかかわらずバッグの中に手を入れたことから、警官は女性が武器を取ろうとしているのではないかと恐れたとのことです。
さらに、女性は車のギアを入れたままで、ギアのコントロールに手を突然動かしたため、警官は女性が逃亡しようとしているか、車で警察官に危害を加えようとしていると考え、車から降りるよう繰り返し求めましたが拒否されたとのことです。その後、女性は車から降りましたが、腕を後ろに回すという命令に応じず、拘束しようとすると体をかわし、手錠をかけられるのを拒否したため、警官は双方の負傷を防ごうと、女性を歩道に転倒させて拘束しましたが、それでも女性が抵抗し続けたことから、腕で首を絞める行為を行ったとのことです。ベルビュー警察は2009年以来、このテクニックの使用を警察官に訓練し、認可していました。ベルビュー警察がこの方法をトレーニングしている動画が公開されています。
その後、女性は警察への対応拒否、法執行官妨害、逮捕への抵抗、所有権移転違反の容疑で逮捕されました。ベルビュー警察は、女性が負傷しなかったこと、苦情を提出しなかったことにも触れ、また、武力行使についての評価に関し問い合わせたが、女性と連絡がつかなかったと発表しています。
この件の追加の動画はこちらで公開されています。
その後、ベルビュー警察のスティーブ・ミレット署長は、致命的な武力行使が正当化されない状況で、警官が相手の首を圧迫して拘束する方法(neck restraints)を使用することを禁止すると発表しました。
「ベルビュー警察は部署として、多様な地域社会により良いサービスを提供するために、ポリシーと手順を常に見直しています。首を圧迫して拘束する方法は効果的だが、非常に議論の余地があり、意見が分かれていることを認識している。ベルビューのコミュニティとさらに会話ができるまでは、警察官の命が危険にさらされている場合を除き、追って通知があるまで使用を中止することにした」
同日、ミネアポリス市も、ジョージ・フロイドさんの死後、市の警察を再建するための最初の具体的な措置として、警官によるチョークホールドと頸部拘束を禁止し、不適切な力を行使している他の警官を阻止するよう警官に求めることに合意したと AP 通信が報じています。