アメリカの疾病管理予防センター(CDC)は25日、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が中国全域とアメリカを含む31の国・領土に広がっていることを受け、米国において現時点では市中感染は起きていないものの、COVID-19の感染拡大を遅らせ、阻止するために積極的な対策を実施すると発表しました。
アメリカでは14人の感染者が確認されていますが、これに加えてダイアモンドプリンセス号からの帰還者では39人の感染が確認され、現在米国内では合計53人の感染が確認されています。現時点でアメリカでは死亡例は確認されていません。
CDC は、2月24日時点でCOVID-19対策に医師・看護師・薬剤師・疫学者・獣医・検査技師・データサイエンティストなど1,336人を動員し、このうち497人はアメリカの空港などの検疫所、州・地方の保健局、病院、隔離施設のある米軍基地、WHOや保健省などアメリカ・世界各地39カ所に配備されています。また、中国からのフライトが着陸する全米11の空港では国土安全保障省と協力し、旅行者のスクリーニングなどを行います。また、国防総省や保健福祉省、国務省とも協力し、
CDC が実施する対策では、米国内でのCOVID-19感染者の症例と接触者の特定、およびCOVID-19感染が多い地域からの旅行者のアセスメント、モニタリング、ケアの推奨が必要としています。また、これらの対策はアメリカにおけるウイルスの広範な感染拡大を防ぐことはできないかもしれないとしながらも、
- 病気の伝播を遅らせる。
- 広範な感染が発生した場合に、州および地方の保健局、医療システム、企業、教育機関、および一般市民がよりよい準備を整えるための時間を提供する。
- 公衆衛生勧告および診断、治療、ワクチンを含む医学的対策の開発と展開の指針として、COVID-19の特性をより明確にする、といった目的で実施されます。
米国の公衆衛生当局は状況を綿密に監視しており、CDCは世界保健機関(WHO)や他のグローバルパートナーと連携して取り組みを進めているとのことです。暫定的な指針はこちらで確認できます。
この新型ウイルスとこのアウトブレイクについて、さらに多くのことが明らかになり次第、CDCはCDC、州および地域の保健局、医療提供者、および地域社会による行動のためのガイダンスに、迅速に取り入れていくとのことです。
現時点でわかっていることとしては、COVID-19のヒトからヒトへの感染は、主に呼吸器感染によって起こるようだということ。でも、どの程度容易に感染するかは、現在のところわかっていません。また、COVID-19感染の徴候と症状には、発熱、せき、息切れなどがあります。中東呼吸器症候群(MERS)および重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルスの潜伏期間、ならびに旅行に関連したCOVID-19の報告による観察データに基づき、CDCはCOVID-19の症状は感染後2~14日以内に出ると推定しています。予備的なデータによれば、高齢者や基礎疾患がある人、免疫力が低下している人は、このウイルスへの感染で重篤な疾患に陥るリスクが高い可能性があることが示唆されています。
2019年12月に中国の湖北省武漢で発生した新型コロナウイルス(COVID-19)は、2月23日時点で中国全域で76,936人、中国の外で1,875人の感染が確認されており、世界で合計2,462人の新型コロナウイルス関連死が確認されています。