労働力調査会社Burning Glass Instituteが人工知能やクラウドコンピューティングなど、需要の高いスキルを持つ技術労働者(frontier skill holder)の集中度に基づいて地域の競争力を評価した「Cities on the Tech Frontier」と呼ばれる新しいレポートで、25,000人以上の技術労働者がいる地域では、シアトル地域が、シリコンバレー、ボストン、オースティンを抑えて第1位となりました。
上位10位の大都市圏
- シアトル〜タコマ〜ベルビュー
- サンノゼ〜サニベール〜サンタクララ
- サンフランシスコ〜オークランド〜バークレー
- ボストン〜ケンブリッジ〜ニュートン
- オースティン〜ラウンドロック〜ジョージタウン
- サンディエゴ〜チュラビスタ〜カールスバッド
- ニューヨーク〜ニューワーク〜ジャージーシティ
- ロサンゼルス〜ロングビーチ〜アナハイム
- ポートランド〜バンクーバー(ワシントン州)〜ヒルズボロ
- ラレー〜キャリー(ノースカロライナ州)
このレポートは、6500万人以上の米国労働者のキャリア履歴と、労働市場分析会社ライトキャストの求人情報からのデータを使用しています。
モメンタムに基づくランキング
また、同社は、需要度の高いスキルの現在の集中度とは別に、各地域のモメンタムに基づくランキングも発表。この「モメンタム・ランキング」は、地域のハイテク関連雇用の伸びと、高く評価されるスキルを必要とする職種の伸びを測定したものとなっています。その結果、シアトルが全米1位で、2位〜4位もフロンティア・スキル全体でも上位にランクインした都市圏が占めています。
上位10位の大都市圏(MSA)は次の通りです。
- シアトル〜タコマ〜ベルビュー
- サンノゼ〜サニベール〜サンタクララ
- サンフランシスコ〜オークランド〜バークレー
- オースティン〜ラウンドロック〜ジョージタウン
- ピッツバーグ
- カンザスシティ
- ボストン〜ケンブリッジ〜ニュートン
- ロサンゼルス〜ロングビーチ〜アナハイム
- ニューヨーク〜ニューワーク〜ジャージーシティ
- マイアミ〜フォートローダーデール〜ポンパノビーチ
同社は、ピッツバーグ(ペンシルベニア州)とカンザスシティ(カンザス州・モンタナ州)は、フロンティア・スキル都市ランキングでは最下位に近かったものの、モメンタムでは上位にランクイン入りしたことについて、「この2都市が新興のハイテク拠点であることを示している」と指摘しています。
また、フロンティア・スキルの集中度が低いにもかかわらず、強いモメンタムを示している都市があることを指摘し、「注目すべき例は、ラスベガス・ヘンダーソン・パラダイス(Las Vegas-Henderson-Paradise (NV)、メンフィス(TN)、シンシナティ(OH)、ウィチタ(KS)である」と分析しています。
一方、大規模な技術労働力を有するMSAの中でも、フランティアスキルのランキングでは上位10位内に入っているサンディエゴ〜チュラビスタ〜カールズバッド(カリフォルニア州)やポートランド〜バンクーバー〜ヒルズボロ(オレゴン州〜ワシントン州)は、モメンタムでは中程度にとどまっていることから、同社は「より高度な技術職の誘致に取り組まなければ追い抜かれるリスクがあることを示している」と分析しています。
フロンティア・スキルの集中度が高く、モメンタムも強い都市
この二つのランキングを合わせると、シアトル、サンノゼ、サンフランシスコはフロンティア・スキルの集中度が高く、強いモメンタムも示しています。
これらの都市が優位を維持している鍵は、既存のフロンティア・スキル労働者を抱え込んでいることにあり、2010年から2019年の間にこれら3都市のいずれかで就職し、2019年以降に転職した技術系労働者の約70%がこれら3都市のいずれかにとどまっています。
このレポートについて最初に報じたGeekWireは、「これらの都市がフロンティア・スキルの集中度とモメンタムを享受していることは、少なくとも当分の間は、ハイテク部門の雇用と経済機会の拡大において成功が続くことを予見させる」との指摘を取り上げています。「リモートワークの時代において、これらの高コストのハブ都市は厳しい競争に直面していると言われているが、トップの座は揺るぎないようだ」。