シアトル・キング郡公衆衛生局が、キング郡の最新のデータから、感染者・死者が有色人種に不均衡に偏っていることが統計から明らかになったと発表しました。
今月1日時点で、キング郡では感染者6,407人、死者449人が確認されていますが、このうち人種が判明している70%のうち、ヒスパニック/ラテン系、ハワイ/太平洋先住民、黒人の感染・入院率は、白人と比べ大幅に高くなっています。また、ハワイ/太平洋先住民の感染・入院率も白人より高くなっています(もともとの人口が少ないため統計的に多くはありません)。一方、アジア系は白人よりわずかに低くなっています。
住民10万にあたりの感染者数(年齢調整済み)
人種 | 3月8日 | 4月26日 |
白人 | 72% | 50% |
ヒスパニック/ラテン系 | 6% | 23% |
アジア系 | 16% | 13% |
黒人 | 5% | 10% |
ハワイ/太平洋先住民 | 1% | 2% |
シアトル・キング郡公衆衛生局は、「過去1カ月間で、白人におけるCOVID-19感染の割合は減少していますが、有色人種の集団における症例の割合は増加しています。これは、当初の感染者は高度看護施設に関連したのが、その後、より広い地域社会における感染拡大に進展したことと一致しています。また、この最新の分析はアメリカの他の大都市圏や州からの知見を補強するものです」と指摘しています。
シアトル・キング郡公衆衛生局と地域社会対策班は、COVID-19が健康の不均衡を悪化させており、長年にわたる構造的な人種差別(住宅政策から医療における差別など)により、すでに不利な立場に置かれているコミュニティに最大の被害を与える可能性が高いと懸念してきました。そして、この不均衡の要因として、心臓病・糖尿病・基礎疾患の有無、複数世代が同居する居住環境(家族内に感染者が出ても社会的距離を維持しづらい)、社会に必須とされる職業で自宅待機できない労働環境(エッセンシャルワーカー)、不法滞在者は連邦政府の景気刺激策などにアクセスできないことから社会的距離を効果的に維持できず感染の確率が高い状況にあるといったことを挙げています。
確認された感染者の分布地図を見ると、感染者が郡全体に見られる一方で、シアトル南部およびキング郡南部では発生率が高く、キング郡北部およびキング郡北東部での発生率はより低いことから、発生率が高い地域は一般的に有色人種の住民が集中している地域と重なっていることもわかります。
キング郡は、この不均衡に対処するために、検査、情報、社会的支援へのアクセスを有するすべてのコミュニティへの支援においてさらに共同で取り組むべきと主張しています。新型コロナウイルスに関する説明や自宅待機命令についての説明は、日本語を含む31カ国語に翻訳して公開されています。