一般的な消毒剤・衛生製品『Lysol』の親会社レキットベンキーザー社(本社:イギリス バークシャー州・スラウ)は24日、「我社は、保健衛生製品の世界的なリーダーとして、いかなる状況においても弊社の製品の消毒剤が人体に投与されるべきではないと明確に伝えたい」との声明を出しました。
また、同社は「すべての製品と同様に、弊社の消毒剤と衛生製品は意図された通りに、使用ガイドラインに沿ってのみ使用されるべきです。ラベルと安全情報をお読みください」「主要な公衆衛生専門家の助言に従って、消費者に正確で最新の情報へのアクセスを提供する責任があると考えています」と説明しています。
この声明は、昨23日にホワイトハウスで行われた記者会見で、国土安全保障省の科学技術局のウィリアム・ブライアン局長代行が漂白剤、アルコール、日光の新型コロナウイルスへの影響についての研究データを詳しく説明した直後、トランプ大統領が新型コロナウイルスに感染した患者の治療に消毒剤の人体への投与が有効か研究するよう提案したことを受けて出されたもの。
ブライアン局長代行は、「新型コロナウイルスは、漂白剤によって約5分間で死滅し、イソプロピルアルコールによって30秒で死滅した。試験では、新型コロナウイルスは、物体の表面や空気中での生存時間が日光と高温・高湿の環境で短縮するようだ」と述べましたが、漂白剤を人体に入れることは提案していません。
トランプ大統領の発言を受け、医療関係者、政治家らが「無責任」で「危険」な誤情報であると反発。呼吸器内科医のヴィン・グプタ医師は NBC ニュースに対し、「どんな種類の洗浄剤も、人体への投与や摂取をするという概念は無責任であり、危険な行為だ」と述べました。
また、ジェローム・アダムス公衆衛生総監は「すべてのアメリカ人へのリマインダ:自分自身や愛する人に治療や薬を投与する前に、必ず医療提供者に相談してください。あなたの安全が最優先事項であり、医師と看護師は、何が安全で効果的かを推奨するために、何年もの訓練を受けています」とツイートしました。
アメリカの環境保護庁(EPA)はこの記者会見の数時間前に消毒剤の使用について「EPA に登録された表面消毒剤を使用する場合は、必ず製品の指示に従ってください」と、声明を出していました。
「絶対に自分や他人に表面消毒剤をつけないでください。消毒剤を服用しないでください。これには、リスト N の製品(COVID-19を引き起こすウイルスの SARS-CoV-2に対して使用する FDA の消毒剤リスト)を直接食品に使用しないことが含まれます。」
FDA(食品医薬品局)は「ハンドサニタイザー&COVID-19」に関するQ&Aのページで、「新型コロナウイルス感染を防ぐために消毒スプレーや除菌ワイプを皮膚に使うことはできますか?」という質問への回答として、「常に家庭用クリーナーの指示に従ってください。皮膚や目に刺激を与えることがあるので、消毒スプレーや除菌ワイプを皮膚に使わないでください。消毒スプレーや除菌ワイプは、人間や動物への使用を意図したものではありません。消毒スプレーまたは除菌ワイプは、硬い非多孔性の表面での使用を意図しています」と回答しています。
CDC(疾病予防管理センター)は、「洗浄剤と消毒剤に関連した中毒センターへの通報が、2020年3月初めから急増している」と発表しています。増加はすべての年齢層で見られますが、5歳以下の子どもが大きな割合を占めています。また、すべての洗浄剤カテゴリの中では漂白剤の増加の割合が最も大きく、消毒剤カテゴリの中では非アルコール消毒剤と手指消毒剤の増加の割合が最も大きくなっています。すべての曝露経路で、吸引が最大の割合を占めています。