米国で電気自動車(EV)の購入をお考えですか?2024年1月から、税額控除の受け方がより簡単になりましたが、新しい規制によって対象となる車種が減るなど、さまざまな変更があります。ここでは要点を簡単にまとめました。
税額控除の受け方が簡単に
2024年1月1日から、税額控除を受けやすくなりましたが、対象となる車種が少なくなりました。
NPR によると、これまでは「EV を購入してから、翌年の確定申告時にクリーン自動車税額控除を申請し、控除を受けるのを待つ」という手続きが必要でしたが、今は「購入時に手続きをすれば、購入当日に控除を受け取ることができる」ようになりました。
つまり、購入する EV が7500ドルの税額控除の対象であれば、ディーラーが EV の購入代金から7500ドルを差し引くことになります。その後、ディーラーはIRS(アメリカ合衆国内国歳入庁)に書類を提出し、IRSはその7,500ドルをディーラーに払い戻します。
世帯収入の上限は変わらず
この税額控除の対象となるには、世帯収入に上限があること、また、自分が米国内で使用するために購入することという要件に変更はありません。
この世帯収入は、一定の控除を差し引いた後の “modified adjusted gross income”(修正調整総収入)が対象で、次の通りです。
- $300,000 for married couples filing jointly
- $225,000 for heads of households
- $150,000 for all other filers
税額控除の対象となる車種が減少
電気自動車(EV)とプラグイン・ハイブリッド車のどちらも税額控除の対象となりますが、(1)北米で組み立てられていること (2)希望小売価格(MSRP)が、乗用車は55,000ドル未満、SUVとトラックは80,000ドル未満であること、という二つの要件があります。希望小売価格は fueleconomy.gov で確認できます。
さらに、最大7500ドルの税額控除の対象となる車種が、昨年の約20種類から、わずか13種類になりました。バッテリー部品は中国、ロシア、北朝鮮、イランを含む「懸念される外国企業」(foreign entity of concern)から調達したものを使うことはできなくなっています。
現時点で税額控除の対象となる2024年モデルは次のとおり。メーカー希望小売価格(MSRP)は、乗用車は55,000ドル未満、トラック、SUV、バンは80,000ドル未満の場合となります。
- Chrysler Pacifica PHEV
- Ford Escape Plug-In Hybrid
- Ford F-150 Lightning
- Jeep Grand Cherokee PHEV 4xe
- Jeep Wrangler PHEV 4xe
- Lincoln Corsair Grand Touring
- Rivian R1S SUV
- Rivian R1T truck
- Telsa Model 3 Performance
- Telsa Model X Long Range
- Tesla Model Y
Chevyの 2023 Bolt EV と Bolt EUV も、引き続き税額控除の対象となります。詳細は連邦政府の公式サイトでご覧ください。
ブルームバーグは、「政府は新たな制限について企業と緊密に調整しているが、まだデータを提出していない企業もあり、これから税額控除の対象が増える可能性がある」との財務省のアシュリー・シャピトル報道官のコメントを紹介しています。
ディスカウントで競争力を維持
こうした状況を受け、税額控除の対象とならない電気自動車が競争力を維持できるように工夫する自動車メーカーもあります。
USA Today によると、GM は、2日、デトロイト・フリー・プレスの取材に対し、「GMが再び税額控除の対象となる部品を調達できるようになるまで、新ルールの下で政府の控除対象外となったEVの価格を7500ドル割り引く」と述べました。
米国での EV 販売台数
では、米国でのEVの販売台数は、どういった状況なのでしょうか。
AP通信は、「米国ではEVの販売台数は伸びているものの、そのペースは業界が掲げる目標には遠く及ばない」と報じています。
「電気自動車の販売台数は今年100万台を超え、年間記録に近づいているが、前年比の伸び率は失速し始めている。米国の自動車販売に占めるEVの割合はまだ約7%に過ぎない」
その代わりに人気が人気が急上昇しているのは、ガソリンとバッテリーを交互に使って効率を最大化するハリブリッド車。この記事では、2023年現在、アメリカでは前年同期比76%増となる過去最高の100万台以上が購入されてい流という Edmunds.com の報告が紹介されています。
EV を敬遠する理由には、価格から、充電ステーション不足、EVの煩わしさを上回る利点がハイブリッド車にもあるという認識などが挙げられています。