シアトル地域の数百人の連邦職員が、Presidents’ Day にあたる2月17日、トランプ政権による連邦職員の大量削減に対する抗議デモを実施しました。これは、全米の首都や主要都市で実施された抗議と連動しているもので、KOMO News などによると、ワシントン州での抗議デモは、シアトルのカル・アンダーソン・パークや連邦ビル、オリンピアのワシントン州議会議事堂で行われました。
トランプ政権は連邦政府の縮小戦略の一環として大量解雇を実施していますが、経験と専門知識を持つ職員の解雇が国家安全保障などに及ぼす影響が懸念されます。
連邦職員の大量解雇が引き起こしている混乱の一例として、エネルギー省の予算削減の一環として実施された国家核安全保障局(NNSA)の約300人の職員の解雇が挙げられます。解雇の対象となった職員の多くがNNSAの核兵器管理に関与していたことが判明したため、国家安全保障への懸念が高まり、その後、NNSAは解雇された職員の一部を再雇用する方針を示しました。しかし、連絡手段が不明確であることから、再雇用の手続きに困難が生じていると報じられています。
また、17日には米国運輸省の下で民間航空の規制と監督を担当する連邦航空局(FAA)の職員が数百人解雇されました。AP によると、解雇された職員にはレーダー、着陸、航行保守を担当する重要な支援スタッフが含まれることから、アメリカ国内の航空会社や空港に影響を与えるだけでなく、国際的な航空安全にも大きな影響を及ぼすことが指摘されています。
トランプ政権は、食品医薬品局(FDA)においても大規模な人員削減を実施しました。Newsweek によると、今回の解雇により、食品添加物、医療機器、タバコ製品の安全性を審査する職員が影響を受けています。この削減に対し、元FDAタバコ製品部門長のミッチ・ゼラー氏は、「このような解雇は連邦職員の士気を低下させ、将来的な人材確保を困難にする可能性がある」と懸念を表明しました。
トランプ政権は、内国歳入庁(IRS)でも大規模な人員削減を進めており、数千人の職員が解雇される予定です。DOGE は、IRSの統合データ検索システム(IDRS)へのアクセスを求めており、このシステムには納税者データが含まれていると、Wall Street Journal が指摘しています。
国立衛生研究所(NIH)では、約1,500人の試用期間中(probational employee)の職員が解雇されました。NIHは医学の進歩や健康危機への対応において重要な役割を担っているため、今回の人員削減は公衆衛生の未来に深刻な影響を及ぼす可能性があると、NPR は報じています。
ロイターによると、ホワイトハウスは17日の裁判所への提出書類で、「イーロン・マスクのトランプ政権での役割はホワイトハウスの職員および大統領の上級顧問であり、DOGE(Department of Government Efficiency)の職員ではなく、意思決定権を持っていない」と述べています。
しかし、同日、14州の民主党司法長官は、マスク氏の「制限のない権力」に異議を唱える訴訟を起こし、DOGE が連邦人事管理局(OPM)と、健康・人間サービス、教育、エネルギー、交通、労働、商業を監督する6つの連邦機関での職員解雇とデータアクセスを阻止を求めました。