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シアトルのダウンタウンなどでも抗議集会 一部で暴動や破壊行為に発展

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25日にミネアポリス市警の警察官に拘束され手錠をかけられた黒人のジョージ・フロイドさんが膝で首を押さえつけられ呼吸ができず死亡した事件を受け、アメリカの社会の構造的差別、そして警察の黒人に対する構造的差別や暴力への抗議活動が全米に広がっています。

シアトルでも29日から31日にかけてインターナショナル・ディストリクトやダウンタウン、キャピトル・ヒルなどで抗議集会が行われましたが、30日にダウンタウンのウエストレイク・パークで 『Not This Time!』 が主催して行われた平和的な集会から数ブロックのところで暴力や破壊行為が発生。その後、高速道路I-5に群衆が入り込み、小売店の窓ガラスが割られ、商品を盗む略奪行為や警察車両への放火などの暴動に発展したため、シアトル市が午後5時から翌日午前5時まで夜間外出禁止令を出し、市の要請を受けたインスリー州知事が治安維持の支援のため州兵を派遣する事態になりました。

シアトル市やシアトル警察、シアトル消防は30日に行った記者会見で、破壊行為や暴力を批判して連帯を呼びかけました。30日の午後の時点で、シアトル警察の副署長は「数時間にわたる平和的な抗議活動の後、群衆が暴力的で攻撃的になり、警官にボトルを投げつけ始めた。さらに集会の参加者に花火を投げつけ始め、市民と警察官が負傷している。群衆は解散命令を無視し、高速道路I-5に入り、Seneca Street 付近から車が通れなくなった。中心部では警察車両数台に放火している」と説明していました。

その後、シアトル市のダーカン市長は30日午後5時前に30日と31日の午後5時から翌日午前5時まで市全域に対し、夜間外出禁止令(curfew)を出しました。火災、広範な損壊、暴力などの公衆衛生および安全上の脅威をもたらす違反行為が対象のため、平和的な抗議活動や生活のための外出は違反とされないとのことです。

31日、シアトル警察のカルメン署長は声明を出し、「現在、警官への暴行や繁華街の中心部への無差別な略奪を続けている多くの犯罪者グループの問題に取り組んでいる。州兵はダウンタウンの状況をコントロールするのを支援している。複数の警官と民間人が負傷した」と述べました。

また、「シアトル警察は、米国憲法修正第1条で保障された権利の平和的行使を促進する準備をしていた。ジョージ・フロイドの殺害の余波の中で、私たちは皆、当然ながら怒り、悲しみ、苛立ち、そしてひど失望している」と述べ、正午頃に平和的に始まったこの状況を利用しようとした一部のグループの行動によって、午後2時40分頃には暴力的で破壊的になり、警官は石や瓶などで襲撃され始め、午後2時38分に抗議活動が違法行為に発展し、暴動となったため、最初の解散命令を出したと説明。「犯人は火炎瓶などの発火物を投げたり、使用したりし、これらが警察車両や自家用車に点火した。この時点で、暴行、放火、破壊、略奪などの罪で27人を逮捕した。命を守り、破壊を終わらせることが最優先だ」と呼びかけました。KING5は少なくとも50人が逮捕されていると報じています。

31日午前に行った会見で、ダーカン市長とカルメン署長は、30日の平和的な抗議滑動への参加者たちと、破壊行為や警察を攻撃した人たちは異なると述べました。ダーカン市長は31日の朝に訪れたダウンタウンは「自分が知っているダウンタウではなかった」と涙をこらえながら語りましたが、シアトルを愛する何百人ものボランティアが掃除をしにきてくれたことに希望を感じたとのことです。

また、「団結するのは権利だ。私たち全員が尊重し、大切にする権利だ。米国憲法修正第1条の権利は、アメリカ人としての私たちにとって基本的なものだ。昨日、人々は参加して平和だった。私は平和的に抗議する権利を行使することを選んだすべての人々に感謝したい。都市としても国としても我々をより良いものにする大切な権利だ」と強調し、暴力を引き起こした人々は正義や人種の平等の名の下にそうしたのではないと批判しました。

「これらは連帯の行為ではなく、むしろ混乱と破壊と憎悪の必要性からなされたものだった」

しかし、ソーシャルメディアでは、平和的な抗議者に対する警察の行為を問題視する発言や動画が拡散されていることから、ダーカン市長は、すべての疑わしい事件は、警察と警察説明責任局(OPA)を含む民間の監視機関によって "高度な精査と確認を受ける" だろうと述べました。また、撮影直前に起きたことは含まれていない可能性のある映像に頼ることについて警告しつつ、「武力の行使が法令の遵守外であった場合、警官は責任を問われる」と説明しています。

31日午後にはシアトルの東のベルビュー市でも休業中のベルビュー・スクエアなどに侵入し略奪行為が行われたことから、ベルビュー警察が出動。市長が非常事態を宣言し、ダウンタウンと高速道路 I-405の東側に対し、31日午後5時30分から1日午前5時30分まで外出禁止令を出しました。一方、ベルビュー市内で行われた抗議活動では、ベルビュー警察の Steve Mylett 署長は抗議活動に集まった人たちに語りかけ、質問に答える様子が拡散されています。

「ジョージ・フロイド氏を殺害した警察官は間違ったことをした。あれは犯罪だ。関与した警察官は罪に問われなければならない」と明言し、「私たちはあなたたちの味方であり敵ではない。警察の多くは、ベルビュー警察では100%と言えるが、あの警官たちの行動を非難した」

KOMO が掲載した動画では、ベルビュー警察では地域のコミュニティにさまざまなアウトリーチを行っていることなどについて説明する様子も写っています。

フロイドさんを死亡させたデレック・チョーヴィン元警官と現場にいた警官3人は解雇され、デレック・チョーヴィン元警官は4日後の29日に第3級殺人罪・故殺罪で逮捕・起訴されました。しかし、ミネソタ州法の第3級殺人罪は「人を死亡させる意図はないまま、人の生命を顧みず他人に著しく危険な行為をし、人を死亡させた」場合に適用されることから、遺族らはより厳しい第1級殺人罪の適用を求めるとの声明を発表しています。

オバマ前大統領もジョージ・フロイド氏の事件について声明を出しています。

「2020年のアメリカでこれが "普通" であってはならない。 "普通" であるはずがない。自分の子供たちには最高の理想に見合う国で育ってもらいたいと思うなら、私たちはもっと良くなることができなくてはならないし、良くなれるはずだ」



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