FBI は25日、全米で発生した偏見(bias)を動機とする事件に関する2020年のヘイトクライム統計の修正版を発表しました。
8月に発表されたヘイトクライム(憎悪犯罪)に関する年次報告は、オハイオ州がシステム障害が原因でデータを過少報告していたことが判明したため、修正されました。
この統計は、1万5138地域の警察機関からのデータを集計したもので、2020年に1件の偏見(bias)がもとになった事件は8052件で、被害者数は1万1126人でした。2019年に1件の偏見(bias)がもとになった事件は7103件で、被害者数は8552人でした。
FBI は、一つの偏見が原因の事件を偏見の種類別に見ると、61.8%が人種・民族・家系、20%が性的指向、13.3%が宗教、2.7%が性自認、1.4%が障害、0.7%が性別に対して加害者が偏見を持っていることが原因で被害に遭っていると分析しています。
また、複数の偏見が原因のヘイトクライム事件は211件で、被害者は346人でした。
被害者の人種は、黒人が2019年の1972件から約46%増加して2871件、アジア人が被害者となった件数は2019年の161件から約73%増加して279件が報告され、黒人が圧倒的多数となりました。
加害者の人種は、白人が3823人で55.2%と過半数以上を占めています。そして、黒人が1451人(21%)、アジア人が75人(1.1%)、先住民が70人(1%)、人種的背景が不明が1092人(16%)と続いています。
アジア人が被害者となった偏見が理由のヘイトクライムは341件。内訳は、脅しが116件、単純な暴力が103件、悪質な暴行が47件などとなっています。加害者の人種は、白人が126人、黒人が53人、アジア人が6人。
しかし、米国内の18625の警察機関のうち3487が犯罪統計を提出していないことを考えると、FBI の統計は過小報告されている可能性が十分にあります。
アジア人に対するヘイトが原因の事件を追跡する Stop AAPI Hate によると、2020年3月19日から2021年6月30日までに報告を受けたアジア人に対するヘイトが原因の事例は9081件。このうち2020年3月19日から2020年12月31日に起きた事例は4548件。2021年1月から6月30日までに起きた事例は4533件でした。事例の大半を占めるのは言葉によるハラスメント(63.7%)で、次に多いのは故意に避ける行為(16.5%)ですが、AAPI によると、これらの大半はトラウマになるような有害なものですが、ヘイトクライムにはあたりません。
【Stop AAPI Hate に報告されたヘイトが原因の事件の内訳】
言葉によるハラスメント 63.7%
故意に避ける行為 16.5%
身体的な暴行 13.7%
咳をされたり唾をかけられたりするハラスメント 8.5%
公民権の侵害(職場での差別、サービスの拒否、交通機関の利用妨害など 11.0%
オンラインハラスメント 8.3%