生成AIはすでに社会のさまざまなところで活用されており、今後もそれが進化して拡大していくと予想されます。
そこで、ワシントン州公立教育指導局(OSPI: Washington State Office of Superintendent of Public Instruction)は、州内の公立学校でAIを教育ツールとして統合するガイダンスを発表しました。
公立学校でのAIの使用に関する州レベルのガイダンスを公開したのは、ワシントン州が米国で5番目です。
「人間中心のAI」(human-centered AI)
州教育長のクリス・レイクダル氏は、このガイダンスの冒頭で、このテクノロジーが産業、地域社会、科学、職場に革命をもたらすなか、AI の使用を禁止するのではなく、責任ある倫理的かつ安全な方法で使用できるよう、生徒や教育者を支援する責任があると述べています。
AIは強力なツールだが、生徒や教育者が “H→AI→H” のアプローチを採用した場合にのみ、学習効果を高めることができる。人間による探究から始め、AIが生み出すものを確認し、常に人間による考察、人間による編集、そして生み出されたものに対する人間による理解で締めくくるのである。
State Superintendent Chris Reykdal
そのポイントとなるのが、AIを「人間中心のAI」(human-centered AI)として統合すること。
“H→AI→H” または “Human→AI→Human” は、「人間による探究から始め、AIが生み出すものを確認し、常に人間による考察、人間による編集、そして生み出されたものに対する人間による理解で締めくくること」を意味しています。
障害を持つ生徒のためのカスタマイズ
ニュースリリースでは、ワシントン州オリンピック半島にあるブリノン学区のブリノン小学校が、特定のニーズに合わせた人間中心のAIアプローチを使用している方法について紹介されています。
ブリノン小学校の特別教育部門長・技術部門長のジェイク・レンバー氏は、AIを使用して、障害がある生徒のためにアートのプロジェクトをカスタマイズし、生徒の興味をベースにした評価を開発し、タスクの効率化を実現しているというわけです。
このガイダンスでは、AIを次のような業務に使用することが提案されています。
- 授業計画やテストの作成
- 学習教材を多言語に翻訳する
- 個人に合わせた教材の開発
- 生徒の創造性の育成
- 生徒が批判的思考を身につけるための支援
- 管理業務の自動化
このガイダンスの開発には、学校、学区、州レベルの教育者、教育技術専門家、研究者、そしてK-12公立学校の生徒からなる多様で経験豊富なグループが携わったとのこと。今後今後数ヶ月間にわたり更新し続けられる予定です。