米国移民局(USCIS)によると、2022年度に米国に帰化した移民の成人は約100万人で、年間集計では米国史上3番目、過去15年で最大規模となりました。
米国に帰化する移民の数は、COVID-19のパンデミック初期に激減しましたが、2022年に再び増加に転じています。
「帰化」(きか)とは
この場合の「帰化」(きか)とは、生まれながらにして米国籍を持っている米国市民以外の人が米国籍を取得して米国市民になること。英語で naturalization と言います。
一方、「移民」は母国から別の国に行って住むことで、その国の国籍を取得することは意味していません。
米国史上3番目の規模
米国移民局(USCIS)が先月発表した報告書によると、2021年10月1日から2022年9月30日までの連邦会計年度の12カ月間に全米各地で行われた帰化式で米国籍を正式に取得した人は96万7400人。米国籍の親の子どもとして米国籍を取得した人や、その他のケースで帰化した人を含めると、2022年度に米国に帰化した人は合計102万3200人でした。
これは、1996年の104万991人、2008年の104万6539人に次ぐ、米国史上3番目の規模です。
帰化の傾向や米国に帰化した人の特徴と傾向
国土安全保障省と国勢調査局のデータを分析したピュー研究所によると、帰化する人の数は2020年の4~6月に8万1000人に激減しましたが、それまで8年間にわたり1四半期あたり平均約19万人が帰化していました。その後、2021年1~3月に20万人に増え、パンデミック前の状態に戻っています。2012年以降の四半期ごとの帰化申請件数は概ね16万件~25万件。
また、米国に帰化した人の人口は1995年から2019年で、760万人から約3倍の220万人に増えています。地域別に見ると、帰化する割合が最も高い合法移民は、ヨーロッパとアジアからの合法移民で(73%)、中東・北アフリカ(72%)、アフリカのサハラ砂漠より南の地域(66%)、ラテンアメリカ(56%)と続きます。
国別に見た場合、合法移民が帰化する割合が最大の国は、カンボジア、ガーナ、イラン、ラオス、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ベトナムで、少なくとも80%が米国に帰化しています。
興味深いのは、米国に帰化する合法移民の割合が最も低く、半数に満たない国は、日本、エルサルバドル、グアテマラ、ホンデュラス、メキシコであること。ピュー研究所は「英語力が高く、米国と強いつながりがあり、米国に長期にわたり住んでいる移民は、帰化する可能性が高い」と結んでいます。
米国永住権を取得する人も増加
国土安全保障省によると、2022年の第2四半期だけで22万1000人が米国永住権を取得しました。2022年の第2四半期に米国永住権を取得した22万1000人の39%が、メキシコ、インド、中国、エルサルバドル、ドミニカ共和国出身者で、2021年第2四半期の34%から増加しています。
2022年の第2四半期に米国永住権を取得した22万1000人の51%は米国市民の近親者で、21%は雇用、17%は家族ベース、4%は亡命となっています。2021年野第2四半期は、61%は米国市民の近親者で、16%は雇用、6%は難民、5%は家族ベースでした。