パンデミックによる旅客数の減少から回復途中にあるシアトル・タコマ国際空港で3日、新しく完成した国際線到着施設(International Arrivals Facility:IAF)が関係者や報道陣に公開されました。
シアトル・タコマ国際空港の旅客数は2020年に大幅に減少した後、2021年には2019年と比べ約30%減の3620万人まで増加しています。年内にはモントリオール(エア・カナダ)、ダブリン(エアリンガス)、ロンドン(デルタ航空)、エドモントン(アラスカ航空)、ヘルシンキ(フィンエアー)との直行便の就航が予定されていること、今後の成長や環境保護、サステナビリティに対応する必要があることから、1970年代に完成した既存の施設に代わる最新の施設の完成が待ち望まれていました。現在は最終テストの段階で、正式なオープンは今春の予定です。
新しい国際線到着施設は、南サテライトと接続している空中歩廊、コンコースAと接続している回廊、荷物受取所などのあるグランド・ホールで構成されています。
国際線で南サテライトに到着すると、飛行機の誘導路にかかる吊り下げ式の歩廊としては世界最長の空中歩廊(長さ780フィート/約238m、地上85フィート/約26m)を通り、入国審査場へ。空中歩廊からは、真下を地上滑走する飛行機、周囲の森林、そして、晴れていればワシントン州最高峰のマウント・レーニアを眺めることができます。
コンコースAに到着する場合は、ゲートや誘導路を見渡せる窓が連なるインターナショナル・コリドアと呼ばれる回廊を通ります。この回廊の完成により、新しいゲートを建設することなく、既存の8つのゲートをアップグレードし、国際線の長距離路線に使われるワイドボディ機に対応することが可能になりました。
入国審査を通過すると、床から天井まで届く大きな窓から自然光が最大限に取り入れられている、明るく広々としたグランドホールへ。エスカレーターで荷物受取所(バゲージクレーム)まで降り、預け入れ荷物を受け取ります。
温もりと自然を感じさせる木を使ったグランドホールへの入口とメインターミナルへの入口、地元の石を使ってワシントン州の太平洋岸を思い起こさせるようデザインされたフロア、美しい森や山、海などの自然にインスパイアされた地元アーティストによる芸術作品など、細部にまでこの地域を感じさせる配慮が見られます。
今年1月、旅行業界で権威のあるスカイトラックス社の「4つ星空港評価」を米国の大規模ハブ空港として2番目に取得したシアトル・タコマ国際空港。国際線到着施設などの美しくモダンな空間を含め、空港での体験をより良いものにするための一連の改良が評価につながりました。
【新しい国際線到着施設の主な見どころ】
- 国際線対応ゲートが12から20に増加
- 1時間に対応できる旅客数が現在の1200人から2600人に増加
- 授乳室、ペット休憩室、トイレなどのアメニティを通関中のスペースに追加
- 高度な技術の導入により、パスポートチェックの迅速な通過を実現
- 荷物受取所(バゲージクレーム)のカルーセルのサイズを大きくし、4個から7個に増加
- 旅客の乗り継ぎにかかる時間を90分から75分に短縮
- 屋内の水使用量を削減する低流量トイレ、LED照明、エネルギー効率の高いエスカレーターモーター、可変速モーターを搭載した荷物搬送装置
- 建物の3分の2が自然光を取り入れるようにすることで開放感、概日リズムを強化し、エネルギー消費量を削減