「米国の料理界のアカデミー賞」と言われるジェームズ・ビアード賞を授与するジェームズ・ビアード財団は25日、2023年度のセミファイナリストを発表しました。今回は、新たに設けられた優秀ベーカリー賞(Outstanding Bakery)を含む23の部門で、全米のシェフやベーカー、レストランやバーなどが選出されています。
1990年に創設され、1991年に初めて授与したジェームズ・ビアード賞は、オレゴン州ポートランド生まれのジェームズ・ビアード氏(1903-1985)が米国の料理界の発展に大きく寄与したことをたたえ、その死後に米国における料理界の発展・継承を目的として設立されたジェームズ・ビアード財団が主催するもの。一年を通してさまざまなイベントや奨学金制度を実施しています。
ワシントン州からノミネートされたレストランやシェフを一覧にまとめました。全米のリストはこちら。
Outstanding Restaurateur 優秀レストラン経営者
Yenvy and Quynh Pham:Phở Bắc Sup Shop、Phởcific Standard Time、The Boat(シアトル)
Outstanding Chef 優秀シェフ部門
Renee Erickson:The Walrus and the Carpenter(シアトル)
Outstanding Restaurant 優秀レストラン部門
Copine(シアトル)
Emerging Chef 新進シェフ部門
Kevin Smith:Beast & Cleaver(シアトル)
Outstanding Hospitality 優秀ホスピタリティ部門
The Black Cypress(プルマン)
Lark(シアトル)
Outstanding Bar 優秀バー部門
Rob Roy(シアトル)
Best Chef: Northwest and Pacific ノースウエスト&パシフィック最優秀シェフ部門
Tony Brown: Ruins(スポケーン)
Dan Koommoo: Crafted(ヤキマ)
Melissa Miranda:Musang(シアトル)
David Nichols:Eight Row(シアトル)
Mutsuko Soma:Kamonegi(シアトル)
Aaron Verzosa:Archipelago(シアトル)
ノースウエスト&パシフィック最優秀シェフ部門への5度目のノミネートとなった相馬睦子さん。2017年にシアトルに開店した蕎麦と天ぷらの店 『Kamonegi』 は、ワシントン州の蕎麦を使った手打ち蕎麦と、日本食の伝統的な食材だけに固執しない独創性が高く評価されてきました。
今回のセミファイナリスト入りについては、「私は5度目のうだつが上がらないレギュラーですが、この賞にノミネートされること自体が名誉なことで、宣伝にも効果があります。全米中から見ますからね。今回、私の友達で、今までそんなにスポットライトが当たらなかったマイノリティの女性たちがノミネートされたのが、自分のことより嬉しく思いました」と話してくれました。
「カリフォルニアのオークランドにあるタイ料理のシェフ、インツーさん(Intu-on Kornnawong 『Jo’s Modern Thai』)が、”嬉しくて、自分に料理を教えてくれたタイに住んですおばさんに電話したよーっ” て報告してくれ、ちょっと涙が出ちゃいました。あとはケンタッキーのスリランカのポップアップをしているサム(Sam Fore 『Tuk Tuk Sri Lankan Bites』)。レストランを開店する前にノミネートされる快挙を達成して、すごく嬉しいです。この賞を通して、もっともっといろんな人が脚光を浴びることができたらと思っています。私自身ももちろん、そばの文化を引き続き広めていければと思います」。
新しい味を追求し続けることに余念がなく、常にさまざまなシェフとコラボもしている相馬さんが夢中になっていることは、ユニークなトッピングを乗せたピザを味わう、ぴざかやポップアップ(Pizzakaya Popup)。「ピザにはすごい職人技がありますが、トッピングは創作できるので、私のそばの哲学に近いのです。いつかピザ屋を開店したいのですが、まだ焦らず、研究段階です」。
受賞発表を兼ねたガラは、6月5日にシカゴのリリック・オペラで開催されます。