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シアトル地域でコカニー・サーモンの稚魚3,000匹を放流 数の激減に対応

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アメリカ北西部のシンボルのひとつ、サーモン(鮭)。ここワシントン州でもさまざまな種類の鮭が孵化して産卵しますが、そのひとつの「Kokanee Salmon」(コカニー・サーモン)の数がここ数年で激減していることが確認されています。

これに危機感を感じたキング郡(シアトル市も含まれます)は、ネイティブ・アメリカンの部族、ワシントン州、連邦政府機関、土地所有者らとパートナーシップを組み、対策を講じることを決定。その一環として、2018年10月から2019年1月に産卵のために川に戻ってきたコカニー・サーモンから卵を採取し、イサクア市の孵化場で孵化させ、10月10日(木)、レイク・サマミッシュに稚魚約3,000匹を放流しました。

産卵のため川に戻ってきたコカニー・サーモン

この日は、ネイティブ・アメリカンのスノコルミー族の代表者らが伝統的な歌を歌った後、レイク・サマミッシュに伝統的なカヌーで出て、体長約6インチの稚魚数匹を放流しました。

ワシントン州魚類野生動物局キング郡などによると、コカニー・サーモンは、ソッカイ・サーモンの一種ですが、海から川へ遡上する回遊魚(Anadromous fish species)ではなく、淡水の川や湖で孵化し、海へ出ることなく、一生を終える種類(non-anadromous fish)。アメリカではアラスカ州、ワシントン州、オレゴン州、アイダホ州、カリフォルニア州など、カナダではブリティッシュ・コロンビア州、ユーコン準州などで見られます。なお、コカニー・サーモンもソッカイ・サーモンも、同じ場所で産卵・孵化しますが、それぞれ別々に行動します。

また、対策の一環として、キング郡のダウ・コンスタンティン行政長官は、サーモンにとって健康的な環境に到達するまでの全長150マイルの行程に確認された36の障害物を取り除く予算1250万ドルを2019-2022年度予算に組み、植林なども施し、サーモンが守られやすい環境作りに努めているとのことです。

キング郡によると、コカニー・サーモンは文化的に重要であることに加えて、在来のコカニー・サーモンは地域の生物多様性にとって重要とされています。いくつかの科学的研究によると、レイク・サマミッシュのコカニー・サーモンは固有の遺伝的特徴を持っており、何世紀にもわたってレイク・サンマミッシュ固有の生態系に適応してきたため、置き換えることが不可能になっています。遺伝的多様性は自然環境をより健康的で回復力のあるものにしており、これは気候変動に直面して特に重要とされます。

野生の鮭は、小川で孵化し、レイク・サマミッシュに入りますが、在来種の大型の魚や、在来種ではない大型の魚、鳥の餌なるリスクがあります。また、レイク・サマミッシュは夏に水温が上がり酸素が少なくなるため、稚魚は水温が低く酸素の多い水域に移動し、淡水魚のイエローパーチなどに食べられたり、病気になったりする可能性が高くなります。科学者らは、これらの状況がコカニー・サーモンの成魚の激減の大きな原因と見ています。実際、2017年には産卵する水域で18,000匹のコカニー・サーモンが確認されましたが、2018年にはわずか120匹未満しか確認されなかったそう。また、かつては8月から11月上旬、そして11月から12月と、2回にわたり産卵のために川に戻ってきていたのが、2000年代になってからは11月から12月にかけてのみとなってしまったそうです。

また、Bellevue Reporter によると、絶滅を防ぐため、イサクア孵化場で育てられたコカニー・サーモンの稚魚のうち250匹が、シアトル沖にあるサンファン諸島のオーカス・アイランドに運ばれています。養殖場の Glenwood Springs Hatchery で26ヶ月間にわたり育てられた後、卵を採取し、数の激減に備える計画です。予想では8万個の卵が採取できるとされています。

天然のサーモンが住めるということは、きれいな水があり、環境が良いところということ。ワシントン州政府や住民の多くも、その保護と啓蒙活動に積極的です。詳しくは「ワシントン州の名産品「サーモン(鮭)」でご覧ください。



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