新型コロナウイルスのパンデミックで、バーに行くことができなくなったことがきっかけで、自宅でオリジナルのカクテル作りを始めた吉水毬絵(よしみず・まりえ)さん。インスタグラムでカクテルの動画や写真をシェアしていたところ注目を集め、コンペティションに出場するようになりました。今回、スペイン企業主催のコンペティションの第一審査を通過し、8月にカリフォルニア州のハリウッドで開催されるセミファイナルに出場する吉水さんにお話を伺いました。
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– パンデミックが社会のさまざまな面に影響を及ぼしていますが、在宅時間が増えたことで新しいことを始めた人も多いです。吉水さんがカクテル作りを選んだのは、どういう経緯からですか。
ミクソロジストが出てくるテレビ番組『Bar Rescue』が好きで、「バーに行けないなら」と、自宅でカクテルを作り始めました。
– 今回のコンペティションに出場することになったきっかけは。
このコンペティションは『バーテンダー&バリスタ・チャレンジ』といって、スペインの『Licor 43』とコーヒーを使うという条件がありました。シアトルはコーヒーの街として有名なので、これは参加したいと思ったのです。5月にソーシャルメディアで米国選考会があり、プロを含む150人以上がインスタやFacebookでカクテル作りの動画をシェアして出場しました。そこから10人に絞り込まれ、私もその一人に選ばれたのです。そこまで期待していなかったので、選考を通過したと知らせを受けた時は驚きました。
– 吉水さんが出品したカクテル『Driving Me Coconuts』は、ネーミングも面白いですね。どういったカクテルなのでしょうか。
水の代わりにココナッツウォーターでコーヒーを抽出するところがポイントです。ホワイトラムとコンデンスミルクを使って、甘めに仕上げました。その他にヘーゼルナッツのリカーも入れているので、ココナッツとヘーゼルナッツというナッツのカクテルということで、英語で言う "driving me nuts"(誰か・何かのせいでイライラするといった意味) からヒントを得て、『Driving Me Coconuts』と名付けました。
– 次のセミファイナルはどういうものですか。
セミファイナルは、8月6日と7日にカリフォルニア州のハリウッドで行われ、バーテンダーの方とバー・コンサルタントの方が3人で審査すると聞いています。緊張より楽しみの方が大きいですね。力試しをしたいと思っています。そのセミファイナルで選ばれた人は米国代表として、10月にスペインで開催されるファイナルで他8カ国の代表と競い合うことになります。
– 創作カクテルをインスタグラムでシェアし始めてから、どんなことがありましたか。
インスタグラムで注目されるようになってから、創作カクテルのコンペティションに出場するようになりました。今では100社以上とコラボして、いろいろなリカーをご提供いただいて、オリジナルのカクテルを作って公開しています。
カクテルを考える時は、味を試しながら、合う・合わないを考えていきます。今年の春にワシントン州ケントに本社を置く宇宙企業ブルー・オリジンに航空宇宙システムエンジニアとして勤務し始めてから、ブルー・オリジンとその創業者ジェフ・ベゾス氏にちなんだ『New Bezos II』という、青色がとてもきれいなカクテルも作りました。ブルー・オリジンでは、ロケットに 『New Shepard』『New Glenn』 と名付けていることからわかるように、何かに名前を付ける時に "New" を付けるようになっています。『Bezos II』という歌があるので、このカクテルには 『New Bezos II』と名付けました。
– これからやってみたいことを教えてください。
こちらで日本のチョーヤさんともコラボさせていただいたこともありますが、これからもっと日本の企業とのコラボを増やせたら嬉しいなと思います。
シアトルに来てまだ3カ月ですが、一年を通して雨が多いと聞いていたのに、今はちょうど天気のいい時期で、暑すぎなく、暮らしやすい所ですね。スペースニードルをテーマにしたカクテルなど、何かシアトルらしいカクテルも作れたら楽しそうです。
– ありがとうございました。
吉水毬絵(よしみず・まりえ)さん略歴
岡山県浅口市出身。イリノイ州の高校に1年留学した時に訪問した大学で宇宙工学に興味を持つ。日本の高校を卒業後、カンザス州にあるウィチタ州立大学に留学し、宇宙工学を専攻。2022年4月から、ワシントン州ケントに本社を置く宇宙企業ブルー・オリジンで、航空宇宙システムエンジニアとして勤務している。
掲載:2022年7月 写真提供:吉水毬絵