今年3月に引退し、シアトル・マリナーズの会長付特別補佐兼インストラクターに就任したイチローさんに球団初の 『Franchise Achievement Award』(特別功労賞)を授与する式典が14日のシカゴ・ホワイトソックスとの試合前に行われ、イチローさんのスピーチに観客が大歓声を送りました。
シアトル・マリナーズでは、9月13日(金)から9月15日(日)に本拠地 T-Mobile Park でのシカゴ・ホワイトソックス3連戦で、イチローさんの功績をたたえるさまざまなイベントを開催。1日目は試合終了後に花火を打ち上げ、そのキャリアのハイライト映像を大画面で放映。特別功労賞を授与する式典を行った2日目の14日は、イチローさんがマリナーズの選手として今年3月21日に東京ドームで帽子を取ってファンに別れを告げた姿を現した首振り人形を先着2万名のファンにプレゼントしました。
On the night we celebrate one of the best to ever do it, Ichiro Suzuki addressed the crowd during the pregame ceremony. 5️⃣1️⃣ pic.twitter.com/bhy3dfGHe9
— Seattle Mariners (@Mariners) September 15, 2019
試合開始前、式典が始まり、ベンチからユニフォーム姿でグラウンドに姿を現したイチローさんは、「ありがとうございます。とても緊張しています。OK、やりましょう。ディー、雄星、今夜は泣くなよ!泣くなよ!」と言って笑わせた後、手元の原稿を見ながら、5分間にわたり英語でスピーチを行いました。その間、球団の経営陣やコーチ陣、殿堂入りを果たした元マリナーズのエドガー・マルティネス氏とケン・グリフィ・Jr、そして現役選手たちはイチローさんの後ろに並び、拍手をしたり、笑顔を見せながら、イチローさんを見守りました。
引退後にイチローさんが公式の場でスピーチを行ったのは、今回が初めて。また、通訳者を介さず、イチローさんが英語でスピーチを行った貴重な機会となりました。
Nothing but love for a legend. 5️⃣1️⃣ pic.twitter.com/OjMeog3EI9
— Seattle Mariners (@Mariners) September 15, 2019
<スピーチ全文>
ありがとうございます。とても緊張しています。OK、やりましょう。
ディー、雄星、今夜は泣くなよ!泣くなよ!
今日は喜ばしい日です。東京で引退宣言をしたあの夜、不完全な気持ちがしていました。なぜなら、シアトルのすばらしいファンたちが、あの場にいることができなかったからです。今夜は、長年にわたり感動的なサポートをしてくださったことに感謝の気持ちを伝えたいと思います。
2001年に私がシアトルに来るまで、日本から野手が来たことはありませんでした。みなさんのところへやってきたのは、27歳で、小柄で細身、無名の選手でした。私を受け入れられない理由はたくさんあったと思いますが、みなさんは両手を広げて歓迎してくれました。そしてそれをやめることはありませんでした。私が(マリナーズを)去った時も、戻ってきた時も。
2018年に戻ってくる機会を与えられた時は、本当に感謝しました。ファンのみなさんがいたからです。ありがとう、シアトル。
そして、ニューヨーク、マイアミ、遠征先でもサポートしてくれたアメリカ各地のファンにも感謝します。
野球はアメリカの国民的娯楽です。野球を愛し、尊敬している皆さんの前でプレーすることができて、本当に幸せでした。
そして、私が知るすばらしい選手たちと一緒に、または対戦する形でプレーすることができて光栄でした。彼らは私が自分のプレーのレベルを上げるようインスパイアしてくれました。
今、私は、若くて才能があり、チームを優勝へ導いてくれる選手たちと時間を過ごすことに喜びを感じています。20歳という年齢差のみならず、言語や文化の違いを超え、私が愛する野球に対する彼らの情熱が本物だと感じるからです。
自分のキャリアを振り返って誇りに思うことがあるとすれば、2001年の最初の試合から、2019年の最後の試合まで、日々のチャレンジを乗り越え、毎日同じ情熱を持ってプレーできたことです。
長いシーズンの終盤に入るにあたり、選手それぞれに思い出してほしいことは、「プロフェッショナルとはどういうことか?」ということです。シーズン終盤の日々は、シーズン開幕から、それ以降の日々と、同じぐらい大切です。毎日、同じ情熱を持ち、やるべきことに取り組むことが必要です。それが、自分のパフォーマンスに現れ、その特別な試合を見に来てくれるファンに与えられる最大の贈り物となります。
シアトル・マリナーズには、私が大好きになったこの街で、愛する野球をプレーするチャンスを与えてくださったことに、常に感謝しています。また、常にサポートし続けてくれる家族にも感謝します。
Now, let’s play baseball!