2018年、死んだ我が子の亡骸を17日間にわたり運び続けたことで世界の注目を集めたオルカが、再び同じ行動をしている姿が目撃されました。
このオルカはワシントン州の海域に生息するサザンレジデントオルカの Tahlequah(個体識別番号J35「タレクア」)で、ホエール研究センター(The Center for Whale Research)の研究者は12月20日に赤ちゃんオルカの誕生を確認したと発表し、さまざまなメディアが「我が子の亡骸を17日間運び続けたオルカに新しい赤ちゃんが誕生」と報じました。
しかし、それから約1週間後の12月30日、母オルカのタレクアがこの赤ちゃんオルカ(個体識別番号J61)の亡骸を運んでいると発表されました。オルカは誕生してから1年間は死亡率が非常に高いことで知られており、死亡の原因については今後の観察が必要となります。
絶滅危惧種に指定されているサザンレジデントオルカの2024年7月1日時点での個体数は73頭。オルカの死亡はどれも大きな損失ですが、同センターは「J61の死が特に深刻である理由には、J61がメスであり、将来自分の母系群を率いる可能性があったこと、そして母親であるJ35が過去に記録されているだけで出産した4頭のうち2頭を失っているという背景がある」と発表しています。前回も今回も死亡した子オルカはどちらもメスでした。
タレクアはこれまで記録されているだけで4頭を出産しており、14歳のJ47(Notch)と3歳のJ57(Phoenix)は、両方ともオスで、無事に成長しています。
しかし、良いニュースもあります。J61が死亡したことが確認されたのと同じ日、別の赤ちゃんオルカ(J62)が誕生していることが確認されました。J62は複数のメスのオルカに囲まれていたため、現時点で母オルカは特定できておらず、性別も判明していませんが、同センター、NOAA、および他の研究グループの研究者たちは、条件が整いシャチの動きが観察可能になり次第、J35およびJ62の追跡観察を行うことを予定しているとのことです。
また、1月1日より、サザンレジデントオルカの保護を強化する新しい法律が施行されました。この法律は2023年にインスリー知事が署名して法制化されたもので、レクリエーション用船舶はサザンレジデントオルカから最低1,000ヤード(約914メートル)の距離を保つことが義務付けられています。レクリエーション用船舶には、ホエールウォッチングの船舶も含まれます。