ワシントン州東部のプルマンにあるワシントン州立大学(WSU)が開発した新種のリンゴ(WA 64)の正式なブランド名が『Sunflare™』(サンフレア)に決定しました。
同大学のリンゴのブリーダー、ケイト・エヴァンズ氏が12月10日にワシントン州ヤキマで開催されたノースウエスト・ホーティカルチャー・エキスポで発表したもので、名前の公募に寄せられた1万5000件の中から選ばれました。
名付け親となったのは、ワシントン州東部のセントラリアに住む49歳のフードサービス営業担当者でシェフのライアン・エスカルセガさん。ニュースリリースによると、この品種の鮮やかな色合いと、この春に北米各地で見られたオーロラを引き起こした強力な磁気嵐にインスピレーションを受けたそうです。
Sunflare™(WA 64)とは
『Sunflare™』(WA 64)はワシントン州立大学(WSU)が開発したリンゴで、1998年にワシントン州東部のウェナチー市にあるウェナチー・ツリー・フルーツ・リサーチ・アンド・エクステンション・センターでハニー・クリスプとクリップス・ピンク(別名ピンク・レディ®)を交配して誕生しました。
『Sunflare』の特徴は、次の通りです。
- 小玉から中玉で丸みがあり、表面の40~70%が黄色地にピンクの赤みで覆われている。
- 直射日光に当てるとよく色づく。
- クリップス・ピンクに比べ、硬さはやや劣るものの、クリスプでジューシーである。
- ハニークリスプよりも硬いが、シャキシャキ感とジューシーさはやや劣る。
- 甘みと酸味はハニー・クリスプとクリップス・ピンクの中間。
- 貯蔵しても風味と硬さが保たれ、貯蔵障害はほとんど発生しない。
- 同大学は植物特許(PP 35,177)を取得しています。
今後の展開
ワシントン州立大学は、特許品種「WA64」(商標名:Sunflare™)の展開に向けた具体的な体制を整えています。インターナショナル・ニュー・ヴァラエティーズ・ネットワークLLCを通じて生産者への樹木販売を管理し、マーケティング専門家による諮問委員会を設立。この委員会はブランドのビジュアルデザインや市場展開を支援し、食料品店への流通を促進する計画です。
ワシントン州立大学のリンゴの育種プログラム
ワシントン州立大学のリンゴ育種プログラム(apple breeding program)は、ワシントン州中部の独特な気候に適した新品種を開発し、ワシントン州の生産者が利用できるようにするために1994年に始まりました。
世界で開発された新品種の多くはワシントン州中央部の生育条件に適していないため、このプログラムでは生産者に提供できる品種を開発し、食味を向上させたリンゴを生産することであり、特に優れた食感と貯蔵性に重点を置いています。
ワシントン州立大学の育種プログラムから生まれたリンゴは、これまでに3つあります。最初にリリースされた「WA2」は、スプレンダーとガラの交配種で、その優れた食味、外観、非常に長い貯蔵期間が評価され、『Sunrise Magic』と名付けられました。
その次にリリースされたのは、2019年から販売されている『Cosmic Crisp®』。シャキシャキした食感で人気が高いハニークリスプ(Honeycrisp)と、病気に強いエンタープライズ(Enterprise)という二つの種類を掛け合わせた交配種で、遺伝子組み換えの新種ではなく、昔から使われている方法で開発されました。
ワシントン州は全米最大のリンゴの産地で、全米生産量のリンゴの60%以上を占めています。