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世界初!人間の遺体をたい肥化する堆肥葬 シアトルの『Recompose』が2020年11月に受付開始

人間の遺体を堆肥化するサービスを提供するシアトルの公益法人 Recompose が、シアトルのソードー地区に建設中の施設を当初の予定より小さい規模でオープンし、2020年11月に遺体の受け付けを開始すると発表しました。

Recompose 社の最終的な施設予想図
Image by Olson Kundig

同社は、世界的に有名なシアトルの建築事務所 Olson Kundig が建築デザインを手がけた1960年代に建てられた18,000平方フィート(約1672平方メートル)の倉庫でオープン準備を進めてきましたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、小型版からできるだけ早くサービスを始めるよう計画を変更したとのこと。この小型版の施設は『greenhouse』(温室)と呼ばれます。

また、死後にこのオプションを利用するための前払いサービス『Precompose』は、2020年8月18日(火)に月額25ドルから受け付けが開始されます。Recompose による堆肥化サービスは5,500ドル。通常、ワシントン州のグリーンな墓地での埋葬費用は6,000ドル。土葬は8,000ドル以上、火葬は1,000ドルから7,000ドルとされています。

Recompose 社の最終的な施設予想図
Image by Olson Kundig

人間の遺体を堆肥化する natural organic reduction(自然有機還元)の処理ができるのは許可を得た施設のみで、施設内では個別の容器に遺体を藁や木片などと一緒に入れ、微生物活動の効果で、3週間から7週間で土に変質することができるとされています。

Recompose によると、この方法では炭素を隔離することができるため、土壌を改善できます。また、火葬1件当たりに使用するエネルギーを8分の1に抑え、CO2の排出量も1人あたり1トン削減できるとされています。

Recompose 社の最終的な施設予想図
Image by Olson Kundig

一人の遺体からできる土は1立方ヤード(0.76立方メートル)。堆肥化が行われている間、遺族は施設を訪れることができるほか、最終的に故人の遺体が分解されてできた土を受け取ることができ、その土の利用方法をそれぞれ決定することができます。

なお、クロイツフェルト・ヤコブ病などのプリオン病や、エボラのような伝染性の高い病気で死亡した人は、堆肥化を選択することはできません。

ワシントン州ではこれまで土葬(burial)と火葬(cremation)の二通りの選択肢がありましたが、最近では防腐剤(embalming)や棺(casket)、墓石(headstone)を使用せずに遺体を埋葬する「グリーンな墓地」(green burial cemetery)があります。

2019年5月にワシントン州のジェイ・インズリー知事が署名した、人間の遺体を堆肥化することを認める全米初の法律では人間の遺体の堆肥化(natural organic reduction)と、アルカリ加水分解(alkaline hydrolysis)による液化処理の二通りの方法が認められています。この法律は2020年5月1日に施行されました。

自分の死後の遺体の処理に関する指示は、合法的に施行できる形で伝えておく必要があります。サービスを申し込んだ場合、ワシントン州外やアメリカ国外からも遺体を輸送できるようになるそう。なお、遺体の輸送に関しては、それぞれの地域での法律の確認が必要です。

同社はすでに545万ドルの資金を調達しており、現在は目標の675万ドルを集めるため投資を募っています。

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