アメリカでも「ロマンス詐欺」(romance scam)の被害が増えているのをご存知でしょうか。
ロマンス詐欺とは、オンラインでの “出会い” “恋愛関係” を装って金銭を騙し取る詐欺で、特にCOVID-19のパンデミックで急増し、その後も被害が増加し続けています。
FTC(連邦取引委員会)の新たな報告によると、2023年の被害者数はアメリカ全体で約69万人、被害総額は過去最高の100億ドルを超え、2022年の被害者数62万4000人、被害総額89億ドルを上回りました。ワシントン州だけでも約2億5000万ドルの被害が報告されています。
ロマンス詐欺とは
前述の通り、「ロマンス詐欺」とは、オンラインでの “出会い” “恋愛関係” を装って金銭を騙し取る詐欺です。
中でも一番多いのは、詐欺師が身元を偽る “imposter scam”(身元詐称詐欺)。これにロマンス詐欺も含まれます。
FTCによると、2023年の最初の6ヶ月間で、オンラインのロマンス詐欺で金銭を失ったと回答した人の半数が、Facebook(21%)、Instagram(21%)、Snapchat(8%)から始まった詐欺に遭っており(プラットフォームやウェブサイト、アプリがわからないものは内訳に含まれていません)、面識のない人からの一見無邪気な友達申請から始まることがわかっています。
被害者は若者からシニアまで幅広く、また、コンピュータに関連した事柄に詳しい人であっても被害にあうことがあっています。
ロマンス詐欺のパターン
ロマンス詐欺には、パターンがあります。
国外での出張や駐在、駐留などといった理由を挙げて、対面で会うことやビデオチャットをすることを避け、安っぽいフレーズを散りばめたメッセージを送り、数週間後には金銭をせびり始めるというのが典型的なパターンです。
当初は食料品やなんらかの請求書の支払いのためという理由で少額ですが、次第に緊急事態を装って多額の金銭を要求するようになります。
FTCによると、詐欺師は、金銭をすぐに入手でき、被害者がすぐに取り返せない方法での送金を求めてきます。例えば、Western Union や MoneyGram を使ったワイヤートランスファー、Amazon、Google Play、iTunes、Steam などのギフトカードとPIN、そして Venmo、Cash App、PayPal などの金銭をトランスファーするアプリ、または暗号通貨(cryptocurrency)です。
しかし、「本当の恋愛関係にあると思い込んでいる被害者は、詐欺師が関係を急がせ、ビデオチャットや対面で会うことを避けていることに気づかない」とのこと。
そして、詐欺師に言われた通りの方法で金銭を貢ぐようになり、「もうお金がなくなった」「もうお金を送れない」と伝えると、詐欺師にブロックされ、連絡が取れなくなります。
2020年以降も被害はますます拡大
詐欺対策情報サイト「ソーシャル・キャットフィッシュ」は、「より多くの人々がオンラインですべての社会的ニーズを満たすことを余儀なくされ、孤立した孤独なワシントン州民を食い物にする前例のない機会を作り出した」と分析しています。
2020年のロマンス詐欺による米国の被害総額は、2019年から50%増加して過去最高の3億400万ドルに達しました。ワシントン州だけでも、全米で7番目に多い1484万ドルをロマンス詐欺で失っています。
FBI のインターネット犯罪苦情センターが発表している最新のデータによると、2022年に米国で報告されたロマンス詐欺の被害件数は19021件で、被害総額は7億3588万ドル以上と、2020年の2倍以上に膨らみました。多くの被害者は騙されたことを恥じて報告しないため、実際はもっと多くの人が被害にあっていると想像できます。
ロマンス詐欺を見分けるには
詐欺対策情報サイト「ソーシャル・キャットフィッシュ」で、詐欺のピラミッド構造や詐欺師が使う手口を動画や画像で見て勉強しておきましょう!
例えば・・・
- 詐欺師は美男美女のモデルの写真を使っている場合があります。それでなくとも、魅力的に見える人の写真を使うので、その画像が過去に使われていないか、画像検索をしましょう。
- プロフィールが完璧すぎないか、うますぎる話ではないか、本当に自分のことを思って苦言も呈してくれる、信頼できる人に相談しましょう。
- 相手が「遠距離なので」「時差があるので」「飛行機で移動中なので」「基地に駐留しているので」「戦地にいるので」など、さまざまな理由をつけて対面で会うことやビデオチャットを避けていないか、観察しましょう。
FTC(連邦取引委員会)は、ロマンス詐欺を疑ったら、次のことをするよう呼びかけています。
実際に会ったことのない “恋人” には、個人情報を提供しない。絶対に金銭やプレゼントを送らない。
- すぐに相手との連絡を止める。
- 信頼できる人に相談する。
- ネットでその人の職種と “scammer “で検索する。例えば、”oil rig scammer “や “US Army scammer “で検索する。自分と似た体験がシェアされていないか。
- その人が送ってきたプロフィール写真を逆画像検索する。同じ写真が別の人物と関連していたり、詳細が一致しなかったりしたら、詐欺の可能性がある。