夏の旅行シーズンの始まりとされるメモリアル・デーの連休を前に、シアトル・タコマ国際空港(SEA)は25日、大幅な改築工事が行われたノース・サテライトを公開しました。
1973年に建設されたノース・サテライトは、その後44年間にわたり大幅なアップグレードはされていませんでしたが、同時期に旅客数は約10倍に増加したことから、シアトル港湾局とアラスカ航空は、8つのゲートとアラスカ航空の旗艦ラウンジを備えるプロジェクトのフェーズ1を2019年に始動しました。フェーズ2では、古い建物の改築と8ゲートの追加、12ゲートのリモデルが行われています。
建物の外観デザインは自然に蛇行する川の動きを連想させるもので、内観はスペースをゆったりととり、自然光がふんだんに入るように改築されました。乳児を連れて旅行する女性のためのナーシング・スイート(授乳用のスイート)には、3つの個室、チェンジングテーブル(おむつ交換台)、個室のトイレや洗面台も揃っているほか、サテライトの中心となる The Marketplace at N では、これからショップやレストランが充実する計画です。
また、パンデミック中にローカルの芸術コミュニティから17作品を購入し、女性やマイノリティのアーティストの作品を増やして多様性を高めようとしているとのこと。このうち5点がノース・サテライトに展示されており、利用客にこの地域の雰囲気を印象付ける役割を果たしそうです。
ノース・サテライトのリニューアルの総工費は推定7億1000万ドル。アラスカ航空は新しいラウンジと従業員用のスペースのために推定4,100万ドルを拠出しています。こうした航空会社による拠出金と、空港開発基金および旅客施設使用料の収入が充てられているため、ほぼすべての空港プロジェクトと同様に、シアトル港の税金は使用されません。
デザイン面での特徴としては、環境保護の観点から、埋立地からの建設廃棄物の76%にあたる20,000トンをリサイクルし、約2,100万ドルのリサイクル材が使用したほか、雨水をトイレの水洗に利用して年間280万ガロン(オリンピック用プール4.5杯分)の節水を実現することができるシステムが導入されています。
さらに、エネルギー効率の高い LED 照明や冷暖房方法により、年間約170万kWhを節約することができるとのこと。これは、一般家庭170軒分の年間エネルギー使用量に相当します。さらに、シアトル・タコマ国際空港は再生可能な天然ガスを建物の暖房に使用する最初の空港です。RNGは低炭素の天然ガスで、多くの場合、埋立地の廃棄物から生成されます。つまり、化石燃料に代わるものであり、大気中の既存の炭素を再利用するため、新たな二酸化炭素の排出はありません。
Seattle-Tacoma International Airport
シアトル・タコマ国際空港
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