先週5日に投票が締め切られ、開票作業が続けられているワシントン州の地方選挙では、アマゾン(本社:シアトル)が政治団体に過去最高額を献金して企業寄りとされた候補の当選を狙ったとして、シアトル市議会選挙が全米の注目を浴びました。現時点での開票結果では、7選挙区の7議席中5議席で、アマゾンが推していなかった急進派の議員の当選が確実となっています。
もっとも注目されたのは、昨年、アマゾンなど大企業に課税する法案を主導したクシャマ・サワント議員の再選。当初はアマゾンが支援した候補がリードしていましたが、9日にはサワント議員の当選が確実となりました。
シアトル・タイムズは10日、「アマゾン、100万ドルのパワープレーの末、シアトル市議会選で敗北。新たな大企業課税の誕生なるか?」(Amazon lost the Seattle City Council elections after a $1 million power play. Will it see a new head tax?)との見出しで「大企業課税法案などの政策が復活しないようにシアトル市議会を編成する試みは、アマゾンが政治献金の上限のないスーパー PAC(political action committee:政治資金団体)を通じて7選挙区の7議席の選挙に150万ドル近く(約1億6300万円)を投じたにもかかわらず、急進的な選挙民に完全に拒否された」との記事を掲載しています。
7議席に推した7人の候補のうち、アマゾンが資金を投じたスーパー PAC が推した候補者で当選が確定したのは、第4選挙区のアレックス・ペダーセン氏と、労働組合とも提携している Civic Alliance for a Progressive Economy など、よりリベラルな PAC も推していた第5選挙区のデボラ・ワレズ氏のわずか2人です。
今回の選挙で再選が確定したサワント議員は10日に行った記者会見で、昨年撤回する結果となった大企業課税の可決に向けて新しい市議会と協力することを楽しみにしていると述べています。
また、ワシントン州の雇用や教育、契約事業において人種や性別、民族性や障害、軍籍などを考慮に含める積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション:affirmative action)を支持する「レファレンダム88」は、開票当初から反対派がリードし続けていましたが、9日の時点で賛成派がわずかにリードしています。
ワシントン州は郵便投票で、有権者は郵便で送られてきた投票用紙に記入して返送、または投票箱に投函して投票します。開票作業が始まると、すべての開票が終了するまで集計状況が発表され続けます。各郡で11月26日(火)に正式に承認されます。その後、ワシントン州の州務長官が12月5日(木)に承認します。承認されるまでは非公式の結果となります。