シアトル・コンベンション・センター(SCC)が総工費20億ドルをかけた北米初の高層コンベンション・センター 『Summit』 (サミット)が、シアトルのダウンタウンに完成。25日には祝賀式典が行われ、27日に一般に公開されました。
「北米初の高層コンベンション・センター」(SCC)と謳われる 『Summit』 があるのは、Pine Street、Olive Way、Boren Avenue、9th Avenue に囲まれた、高速道路I-5の上にある広大なブロックで、もともとメトロバスのコンベンション・プレース駅だったところです。
道路の向かい側にある1928年完成のパラマウント・シアターとは対照的な、金属と木とガラスを使ったモダンな建物。床から天井まで届く大きな窓や天窓から、地下1階の展示フロアを含むすべての階に自然光が届くように設計されています。
Pine Street に面した側に Hillclimb (ウォーターフロントからパイク・プレース・マーケットに上がる階段も同じ名前で呼ばれます)と呼ばれる階段には、米国北西部原産の木材を使用しています。
最上階からは、ダウンタウン、パイク・プレース・マーケット、エリオット湾が見えるので、休憩にも良いスポットになりそうです。
地下1階は展示会場、1階はワインバーやカフェ、ファストフードやレストラン、会議場、駐車場、2階から上は62の会議室、14000平方フィートの屋外ガーデンテラス(3階)、フットボール・フィールドを上回る58000平方フィートのボールルーム(5階)などが揃っており、1.5ブロック離れた Pike Street 沿いのコンベンション・センター 『Arch』(アーチ)と合わせると、総面積は150万平方フィートにほぼ倍増しました。
シアトル・コンベンション・センターによると、新ビルの建設計画が持ち上がったのは、1988年から使用している Pike Street 沿いのコンベンション・センター 『Arch』(アーチ)だけではコンベンションの需要に対応できない事態となっていたため。COVID-19のパンデミックが始まる数年前の2018年8月に建設が始まりました。
シアトル・タイムズによると、建設費のほぼ全額が、シアトル市内のホテルの客室にかかる7%の税金と、シアトル以外のキング郡のホテルの客室にかかる2.8%の税金で賄われていることなどから、パンデミックによる宿泊税の税収減少が影響したほか、約3億ドルの予算超過となり、建設工事も遅れる結果となりました。
米国で最初の COVID-19感染者・死者・アウトブレイクが報告されたワシントン州。その最大の都市シアトルのダウンタウンは、パンデミックによって急激な景気後退に陥りました。ダウンタウン・シアトル協会によると、2022年12月は220万人近くがダウンタウンを訪れ、2021年12月と比較すると8%以上の増加となりましたが、その一方で、オフィスワーカーの数は改善の兆しがあるものの、まだ2019年の半分以下にとどまっています。また、ホテルの予約も2019年の水準に近いとはいえ、まだ完全に回復していません。
コンベンション・センターによると、現時点でこの新ビル『Summit』ではエメラルドシティ・コミコン(3月)や北西部最大のアニメの祭典『Sakura-Con』(4月)などを含む58のイベントの予約があり、さらに8つのイベントがアーチとサミットの両方を予約しているそう。今後はさらなるコンベンションの誘致によるホテル宿泊客の増加と宿泊税の増収を実現し、ダウンタウンに活気を取り戻すことが期待されます。