シアトル・キング郡公衆衛生局のジェフ・ドゥーチン博士は、新型コロナウイルス感染症ワクチンの接種の有無にかかわらず、屋内の公共の場ではマスクの着用を継続するよう住民に強く求める地域保健担当官指令を発表しました。
これは、地域の新型コロナウイルス感染者数および入院率が減少しているものの、依然として高いレベルにあるためで、シアトル・キング郡公衆衛生局は、公共の場でサービスを提供する企業に対し、顧客や従業員が屋内でマスクを着用するようなポリシーを継続することを推奨しています。
ニュースリリースによると、ドゥーチン博士は「特に新型コロナウイルス感染症ワクチンは感染やウイルスの拡散を防止する高い効果があり、ワクチンを接種していない人は新型コロナウイルス感染症に感染したり拡散したりする危険性があるという点で一致しているので、ワクチンを接種しているのになぜマスクをしなければならないのかと思う人もいるかもしれない。ワクチンを接種していてもマスクをしなければならない理由は、誰がワクチンを接種していて、誰が接種していないのかを知る方法がなく、企業がそれを判断するのは非現実的だからである」「予防接種を受けていない人がマスクを着用しなければ、新型コロナウイルスの拡散のリスクが高まる。現実的かつ地域保健の観点から、全員の安全を確保する最も確実な方法は、ワクチン接種率を引き上げ、疾病率を低減させるまで、あと数週間、屋内の公共スペースで全員がマスクを着用することである」と説明しています。
シアトル・キング郡公衆衛生局が地域保健担当官指令を出すにあたり考慮した要素は次のような点です。
- キング郡のワクチン接種率は全米でもトップクラスだが、住民の多くはまだ完全に接種が完了した状態ではない。
- キング郡では、新型コロナウイルス感染症の感染率と入院率が依然として高い。
- 予防接種を受けた人と受けていない人の区別がつかない状態で、マスクをせずに屋内に集まると、顧客や従業員に新型コロナウイルス感染症が蔓延する危険性が高まる。
- COVID-19の感染率は、生活環境や労働環境、ワクチンへのアクセスなどの根本的な原因により、地域社会の一部の地域で不均衡に高い状態である。これには、キング郡南部および南東部、若年層、有色人種が含まれる。
- 特定の健康状態にある人の多くは、自分を感染から守るためにワクチンを接種するという選択ができない。その場合は地域社会による保護に頼らざるを得ない。
- 12~15歳の子どもや若年層が予防接種の対象になってまだ間もない状態である。
- さらに、公共の場で、誰がワクチンを接種しているかしていないかを知る現実的な方法がないため、ワクチンを接種した人と接種していない人で異なるルールを設定したポリシーを実行することは困難であり、企業や現場で働く人に負担を不当に転嫁することになる。ワクチンを接種していない人が屋内でマスクをしていない場合、その人自身が感染する危険性があるだけでなく、他人にも感染を広げてしまう危険性がある。
この地域保健担当官指令は、シアトル・キング郡公衆衛生局が、16歳以上の住民の70%以上が新型コロナウイルス感染症の予防接種を完了したことを確認するまで有効です。予防接種を完了した状態とは、2回目の接種(ジョンソン・エンド・ジョンソン社製のワクチンの場合は1回目の接種)から2週間が経過してからです。現在、シアトル・キング郡公衆衛生局は、6月下旬には16歳以上の住民の70%以上が新型コロナウイルス感染症の予防接種を完了すると予測しています。
ドゥーチン博士は20日に行った会見で、「ワクチン接種の有無に関わらず、屋内や公共・共有スペースではほとんどの人がマスクを着用すべき」であり、また、感染率が高い状態が続いている間、子どもや免疫力の低い人たちの安全を守るために、"もう少しだけ我慢してほしい" と述べています。
「マスクをすることが 個人の選択"(personal choice)に過ぎなくなる日は、そう遠くないだろう。」
キング郡の指令に加えて、ワシントン州保健局の命令では、学校、公共交通機関、ホームレスシェルター、矯正施設、医院、長期療養施設、病院などの医療機関において、全員にマスク着用を義務付けることが引き続き求められています。