シアトル公立学区(Seattle Public Schools)が、電子たばこ大手ジュールラボ社に対し、未成年者をターゲットにしたマーケティングの中止、損害賠償、予防教育と中毒の治療に充てる費用を求める訴訟を起こしました。
訴状では、ワシントン州最大の学区であるシアトル公立学区は、ジュールラボ社の広告と商品デザインは意図的に未成年者をターゲットにしたもので、主にニコチンを含む液体を加熱して蒸気を吸う仕組みの電子タバコ(ベイピング:vaping)とニコチン中毒の急増を引き起こしていると主張しています。
また、シアトル学区はフィリップモリス社の親会社でジュールラボ社の35%の株式を保有するアルトリア・グループ社(Altria Group, Inc.)、ジュールラボ社製品と互換性のある商品を売り出し、Doit4juul などの若年層をターゲットにしたソーシャルメディアのキャンペーンを始動した Eonsmoke, LLC も提訴しています。
学校キャンパスでは、従来の喫煙もベイピングも許可されていません。しかし、KING5によると、シアトル公立学区では2016年から2018年にかけて10年生の電子タバコの使用は229%増加。トイレに生徒が集まってベイピングをすることが深刻な問題となり、煙が火災報知機を作動させ、校長補佐や警備員が見回りに多大な時間を費やす結果となっています。
シアトル・タイムズによると、2019年度の National Youth Tobacco Survey や Washington State Healthy Youth Survey で、未成年者の電子タバコの使用は全体的に増加していることがわかっています。
ジュールラボ社は、National Youth Tobacco Survey の結果を受け、ミント風味のニコチンカートリッジ(Juulpods)のアメリカ国内での小売販売を中止すると発表。また、インターネット販売も取りやめると発表しています。
アメリカではベイピングが原因と見られる肺の病気をわずらう人が増え、社会問題となっています。