
シアトルのブルース・ハレル市長は10日、パイク・プレース・マーケットの正面入口に続くパイク・ストリート(Pike Street)の1st Avenue と 2nd Avenue の間に植えられている老化した桜の木を、新しい桜と植え替えることを決定しました。
また、ハレル市長は、これらの桜の木の文化的意義を伝える記念プレートも設置するほか、伐採する街路樹1本につき3本の植樹を義務付ける新しい街路樹政策にもとづき、16本の桜の木を別の場所に植えると発表しています。
「桜の木は単なる象徴ではなく、日本との深いつながりの中で、良いことも悪いことも含めて、何十年もの歴史を伝えるものです。このことは、ミニドカ強制収容所に収容されていた私の日系アメリカ人の家族の体験に根ざしています。私の家族は、桜の木とその見事な開花に敬意を払っていました」と、ブルース・ハレル市長はニュースリリースで述べました。
「今週初め、新しい市長令と樹木条例の強化案を通じて発表したように、より多くの木を植樹することを約束します。既存の樹木の保存を支持する人々の意見を聞きながらjこれらの樹木の健康状態が低下していることと、今後40年に向けた新しく安全なアクセス道路を設置するビジョンを比較検討し、この桜の木の歴史的意義の重要性に合意しました。パイク~パイン街路景観改善プロジェクト(The Pike Pine Streetscape Improvement )は、ダウンタウンの再建に向けた取り組みの基礎であり、それによって桜の木が今後何年にもわたりシアトルの新しい世代にも伝えられることになります。」
この件を最初に報じた Northwest Asian Weekly によると、シアトル市は今月、総額7億5600万ドルのウォーターフロント再開発プロジェクトの一環として、パイク・ストリート沿いの桜の木の撤去を決定しましたが、Save the Market Entrance や Japanese American Citizens League(日系アメリカ人市民同盟)などが市に再考を求めていました。
Save the Market Entrance のルース・ダナー代表は、「私たちは、これらの桜の木が枯れて撤去を余儀なくされることに深い悲しみを覚えています。これらの桜の木は、ただの木ではありません。パイク・プレース・マーケットが取り壊しの危機を逃れた時、その正面入口を優雅に縁取るため、1980年に植えられたものです。第二次世界大戦前、マーケットに出店していた農家や業者の圧倒的多数を占めていた日系アメリカ人に対する人種差別的な扱いを示す証人として、歩哨の役割を果たしてきました」と述べています。
「しかし、ハレル市長が、これらの木が象徴する歴史や文化が失われるという我々の懸念に耳を傾けてくれたことに非常に感謝しています。また、この歴史を伝えるプレートやその他の情報が設置されることに感激しています。」
今月、2016年から2021年にかけてシアトル市内の樹冠投影面積が255エーカーも減少したとの報告を受け、ハレル市長は樹冠投影面積を増やし、公平に植樹を行い、気候問題や経済問題に対応する取り組みを発表しています。