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カナダのトルドー首相、米関税に25%報復関税 メキシコのシェインバウム大統領も対抗措置へ ワシントン州への影響

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トランプ大統領は1日、カナダとメキシコからの輸入品に25%(カナダからの石油は10%) 、中国からの輸入品には10%の追加関税を課す大統領令に署名しました。さらに、この3カ国が報復した場合、さらに税率を引き上げる仕組みが含まれていると、ホワイトハウスは発表しています。

ホワイトハウスは、この関税について、「トランプ大統領は、メキシコ、カナダ、中国に対し、違法移民の阻止と、有害なフェンタニルやその他の薬物の流入を防ぐという約束を果たさせるため、大胆な行動を取っている」「致死性フェンタニルを含む違法移民と薬物がもたらす異常な脅威は、「国際緊急経済権限法(IEEPA)」の下で国家緊急事態に該当する」と述べています。

もくじ

カナダのトルドー首相、米国からの輸入品に25%の報復関税を発表

カナダのトルドー首相は1日に会見を行い、米国の関税措置に対抗して米国製品に25%の関税を課すと表明しました。

25%の関税を課す対象: 1550億カナダドル相当の米国製品
2月4日から: 300億カナダドル相当の即時関税
21日後から: 1250億カナダドル相当の関税

さらに、非関税措置を検討しているとも発表しました。 アメリカが課すと発表した関税と同様に、カナダの対抗措置も広範に及びます。トルドー首相は、アメリカ産のビール、ワイン、バーボン、果物やフルーツジュース(オレンジジュースを含む)、野菜、香水、衣類、靴、家電製品、家具、スポーツ用品、木材やプラスチックといった原材料など、多岐にわたる製品も対象となると述べました。さらに、各州および準州と連携し、関税以外の対策も検討しており、その中には、重要鉱物の管理、エネルギー調達、その他のパートナーシップに関する措置が含まれるとのことです。

トルドー首相はこの会見で報復関税について発表する前に、「今夜、アメリカの皆さんに直接お話ししたいと思います」と前置きし、いかにアメリカとカナダが長きにわたりさまざまな局面で助け合ってきた歴史を振り返り、かつてジョン・F・ケネディ大統領が1961年にカナダ国会で演説した時の一文を引用しました。

“…But it doesn’t have to be this way. As President John F. Kennedy said many years ago: “Geography has made us neighbors, history has made us friends, economics has made us partners, and necessity has made us allies.” That rang true for many decades before President Kennedy’s time in office and has continued in the decades since. From the beaches of Normandy to the mountains of the Korean Peninsula, from the fields of Flanders to the streets of Kandahar, we have fought and died alongside you.”

「…しかし、こうした状況は避けられるのです。かつてジョン・F・ケネディ大統領は、次のように語りました。 「私たちは地理から隣人に、歴史から友人に、経済からパートナーに、必要性から同盟者になった」。この言葉は、ケネディ大統領が就任する何十年も前から、そしてそれ以降の何十年も変わらず真実であり続けています。ノルマンディーの海岸から朝鮮半島の山々まで、フランドルの戦場からカンダハールの路上まで、我々は共に戦い、共に命を捧げてきました」

全文を下記に日本語と英語でまとめました。

また、トルドー首相はカナダの人々に団結を呼びかけ、カナダ製品を購入し、カナダ国内で休暇を楽しむよう提案しました。

メキシコのシェインバウム大統領も対抗措置へ

メキシコのシェインバウム大統領も会見を行い、トランプ大統領がメキシコからの輸入品に25%の追加関税を課す大統領令に署名したことを受け、関税および非関税の対抗措置を講じるよう経済相に指示したと明らかにしました。 しかし、対話し、話し合うこと、暴力によらず、理性と法によって全てを解決するのだと述べています。

Xに投稿した長文の日本語訳をこちらにまとめました。

アメリカの貿易相手国

国勢調査のデータによると、2024年11月時点で、米国全体の最大の輸入元はメキシコです。また、米国全体の輸出先はカナダが最大となっています。

ランク輸出額
(億ドル)
輸入額
(億ドル)
総額
(億ドル)
合計貿易額の割合
1メキシコ26.942.269.115.4%
2カナダ28.433.461.813.8%
3中国12.837.850.511.3%
4ドイツ6.412.919.24.3%
5日本6.612.118.74.2%
6韓国5.110.115.33.4%
7ベトナム1.212.113.33.0%
8台湾3.79.313.02.9%
9UK6.46.012.42.8%
10アイルランド1.410.712.02.7%
国勢調査(2024年11月)

ワシントン州への影響

ワシントン州はカナダやメキシコとの貿易に深く依存しており、新たな関税は州経済に深刻な影響を及ぼす可能性があります。まず、食品やガソリン、自動車、電子機器の価格が上昇して生活費が高騰することが懸念されるほか、カナダ産の木材や鉄鋼の関税により、住宅建設やインフラ整備のコストが増加し、建築業界にも打撃を与える可能性があります。ワシントン州が輸出するリンゴやサクランボなどの農作物、アルコールなども報復関税の影響で競争力を失い、収益の減少が予想されます。また、航空宇宙産業においても、カナダやメキシコから輸入する部品のコスト増加が生産に悪影響を与える可能性があります。さらに、シアトルやタコマの港湾業務にも混乱が生じ、物流の停滞や貿易量の減少につながるおそれがあります。

これらの要因が重なることで、さまざまな分野で雇用の削減が進み、州経済全体に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

関税は貿易相手国に圧力をかける手段として導入されますが、政府が輸入品に課す税金を払うのは輸入者で、結果的に輸入品の価格にその税金が反映され、最終的には消費者がそのコストを負担することになるのが実情です。カナダ・メキシコとの結びつきが強いワシントン州では、物価上昇、貿易の混乱、主要産業への悪影響、雇用リスクなど、深刻な影響が予想されます。

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