シアトル市は、交通事故の減少と市民の安全確保を目的として、交通安全カメラ(トラフィック・カメラ)プログラムの拡充を進める方針を発表しました。市議会では現在、2024年に施行されたワシントン州の新たな交通安全カメラ関連法に対応するため、市条例の改正が検討されています。
Photo: Example of a traffic safety camera sign on a street in Seattle. Photo: SDOT
交通安全カメラのこれまでの導入状況
シアトル市では、2006年以降、シアトル警察と連携し、以下のような違反を取り締まる目的で交通安全カメラを設置してきました。
- 赤信号無視
- 速度違反
- バスレーンの不正使用
- 交差点・横断歩道の進入妨害
これらのカメラは、交通安全を高めるための重要な手段として採用されているもので、調査によっても、スピード違反や事故、重傷・死亡事故の発生率を着実に減少させていることがわかっています。
シアトルの交通安全カメラ設置状況(2025年春時点)
2025年春時点での設置状況は、次のとおりです(SDOT公式発表より)
- 🚦 赤信号カメラ:23か所の交差点に設置
- 🚌 バスレーン監視カメラ:6路線に設置
- ⛔ 交差点妨害防止カメラ(block the box):6か所の交差点に設置
- 🏫 通学路スピードカメラ:19か所のスクールゾーンに設置(2025年末までに38か所へ倍増予定)
シアトル運輸局によると、カメラの設置は日常的に交通ルールを守る意識を高めること、特に通学時間帯の子どもたちの安全確保において、スクールゾーンでのスピード監視は非常に重要な役割を果たしていることがわかっています。
州法改正に伴う市の対応
2024年、ワシントン州では交通安全カメラの運用に関する法律が改正され、自治体による設置や運用の自由度が高まりました。この州法改正を受け、シアトル市では以下を盛り込んだ市条例の改正案を検討しています。
- 新たな交通安全カメラの設置範囲・対象違反の拡大
- 市民への透明性向上と手続きの改善
- 州のルールに準じた罰則や通知プロセスの見直し
交通事故死ゼロを目指す「Vision Zero」への貢献
この条例改正は、シアトル運輸局(Seattle Department of Transportation: SDOT)が掲げる「Vision Zero」(交通死亡事故・重大事故をゼロにする目標)に向けた取り組みの一環です。
監視カメラの拡充により、交通ルールを守る行動が強化され、歩行者、自転車やスクーターなどの利用者、ドライバーすべての安全が高まることが期待されます。