カリフォルニア州に次ぐ全米第2のプレミアムワインの産地として知られるワシントン州に、21番目のアメリカぶどう栽培地域(American Viticultural Areas:AVA)が誕生しました。
ワシントン州の中央部、コロンビア・リバー沿いを走る243号線の東側に位置する Beverly Washington AVA(ビバリー・ワシントン AVA)です。
ビバリー・ワシントン AVA の総面積は2,415エーカーで、州内で最も小さいアペレーションの一つ。その名称は、この地域内で1900年代初頭に鉄道が敷設された際に建設された町の名前に由来しています。
AVA に認定される条件
米国財務省酒類・たばこ税貿易管理局(TTB)によってアメリカぶどう栽培地域(American Viticultural Areas:AVA)として認定されるには、際立った特徴があることが条件となります。
ワシントン州ワイン委員会によると、ビバリー・ワシントンのAVA申請書を作成したホイットマン・カレッジの地質学教授ケビン・ポーグ氏はこの地域の特徴を「暑さ」「風」「土壌」にあるとしています。発表の要点をまとめました。
- 暑さ:ビバリーは、州内でも特に暑い地域のひとつ。年間降水量はわずか5インチ(127mm)で、コロンビア・バレーの中でも最も降水量が少なく、最大の雨陰効果が見られる。そのため、特に赤ワイン用の品種に適しており、主にカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、マルベック、カベルネ・フランが栽培されている。
- 風:サドル山脈の1.5マイル(2.4km)の隙間である「センチネル・ギャップ」の北2マイル(3.2km)に位置しており、ここを通る風はこのセンチネル・ギャップを通過する際に加速し、その後減速する。その結果、ロイヤル・スロープ近辺に比べて平均風速および最大風速が顕著に高くなることから、樹冠やブドウの粒の大きさが小さくなり、皮が厚くなる。
- 土壌:ビバリーは、約13,000~15,000年前に起きたミズーラ洪水(Missoula Floods)で膨大な量の水が通ったとされる二つの水路が交わる地点に位置している。前述の「センチネル・ギャップ」によって幅が狭まって勢いが弱まり、重い堆積物が沈殿しやすくなったことで、非常に水はけが良い土壌が出来上がった。
「非常に暑くて風の強い地域です」と、この AVA 内で3つのブドウ園を管理するフォー・フェザーズ・ワイン・サービスのブドウ園運営部長トム・マークル氏。「この地域のブドウは小粒で皮が厚いため、複雑で濃厚な味わいのワインが生まれ、長期熟成にも向いています」
ラベルの産地表示について
「ビバリー・ワシントンは、州内で21番目のAVAにあたり、2020年以降に認定されたのはこれが7つ目です」と、ワシントン州ワイン委員会のエグゼクティブ・ディレクターであるクリスティーナ・ケリー氏は述べています。「新しいAVAが増えるたびに、ワシントンワイン産業の成長と成熟が示されています」
ビバリー・ワシントン AVA を原産地としてラベルに記載するには、2024年11月29日以降、ワイナリーが米国財務省酒類・たばこ税貿易管理局(TTB)に対し、ラベル承認証明書(COLA)を申請する必要があります。
これからワシントン州ワインを買う際は、ワイン用ぶどうの産地もチェックしてみてください。
ワシントン州ワイン委員会について
ワシントン州ワイン委員会(WSWC)は、ワシントン州内のすべての認可ワイナリーおよびワイン用ブドウ栽培者を代表する州政府機関です。指名された委員会によって運営され、ワシントンワイン産業の認知を高め、ワインの需要を促進するためのマーケティングプラットフォームを提供しています。WSWCは、ブドウとワインの売上に基づく課徴金により、ほぼ完全に業界から資金提供を受けている州政府機関で、1987年に設立されました。詳細は www.washingtonwine.org をご覧ください。