ワシントン州のジェイ・インズリー知事が、全米で初めて人間の遺体を堆肥化することを認める法律に署名しました。来年5月1日に施行されます。
この処理ができるのは許可を得た施設のみで、このサービスを提供するシアトルの公益法人 Recompose のカトリーナ・スペード CEO は、この方法を「recomposition」と呼び、KIRO の取材に対し、この方法では「遺体を藁や木片などと一緒に特別な容器に入れ、微生物活動の効果で、3週間から7週間で土に変質することができる」と回答。同社の公式サイトによると、この方法では炭素を隔離することができるため、土壌を改善できるとしています。
また、堆肥化が行われている間、遺族は施設を訪れることができるほか、最終的に故人の遺体が分解されてできた土を受け取ることができ、その土の利用方法をそれぞれ決定することができます。一人の遺体からできる土は1立方ヤード(0.76立方メートル)とのことです。
なお、同社によると、クロイツフェルト・ヤコブ病などのプリオン病や、エボラのような伝染性の高い病気で死亡した人は、堆肥化を選択することはできません。
通常、土葬に必要な費用は8,000ドルから25,000ドル、火葬は最大6,000ドル。同社は堆肥化の場合は5,500ドルを想定しているとしています。
Recompose はこれから最初の施設を建設することになりますが、2020年末までには20-25の遺体を個別に入れることができる容器を保管する場所を完成させることを予定しています。
ワシントン州ではこれまで土葬(burial)と火葬(cremation)の二通りの選択肢がありましたが、近年は防腐剤(embalming)や棺(casket)、墓石(headstone)を使用せずに遺体を埋葬する「グリーンな墓地」(green burial cemetery)もあります。火葬は土葬よりも利用者が多くなっていますが、大量の地球温暖化ガスを放出することが問題視されるようになりました。そのため、堆肥化する方法は環境にも良いとして支持する人が増えています。
新しい法律では人間の遺体の堆肥化(natural organic reduction)と、アルカリ加水分解(alkaline hydrolysis)による液化処理の二通りの方法が認められています。
更新:2019年5月23日