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フラック彩子さん ビクラム・ヨガ・インストラクター

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ハリウッド女優たちが発信源となり、空前のブームを巻き起こしているヨガ。ここシアトルでもヨガ人口が急増していますが、中でもビクラム・ヨガは大人気。今月はアメリカでは数少ない日本人のビクラム・ヨガ・インストラクター、フラック彩子さんにお話を伺いました。
※この記事は2004年7月に掲載されたものです。

フラック 彩子(ふらっく さいこ)

1993年 交換留学生として渡米

1994年 帰国

1995年~2002年 JTB USA Inc. New York支店に勤務

2002年4月 シアトルへ

2003年9月 ビクラム・ヨガのティーチャー・トレーニングを開始

同年11月 ティーチャー・トレーニングを修了。インストラクターになり、現在に至る

渡米

渡米されたきっかけを教えてください。

初めての渡米は1993年の夏。大学3年生の時に交換留学生としてニュージャージ州に行きました。当初は1年だけのつもりでしたがアメリカがとても好きになってしまい、翌年に日本に戻って大学を卒業してすぐニューヨークへ。1995年から2002年までJTB USA Inc.ニューヨーク支店法人営業部で営業に携わりました。人と関わる仕事が好きで、人の役に立っているという充実感があり、営業という仕事にはとてもやりがいを感じていました。

ニューヨークからシアトルに引っ越して来られたのはどうしてですか。

ニューヨークで知り合って結婚した夫がシアトル出身なのですが、彼が偶然シアトルで新しいキャリアが見つかったことが大きな理由です。また、マンハッタンに住んでいたので、2001年の同時テロ事件後ニューヨークはもういいかなと思ったのも、もう1つの理由です。今はシアトルがとても気に入っていますが、引っ越してきた当初はニューヨークとの違いに驚き、慣れるのに1年ほどかかったでしょうか。また、ニューヨークではとても忙しい生活を送っていたのに突然仕事を辞めてしまうと毎日何をしたらよいのかわからず、ビザから永住権に書き換える間に一時的ですが就労できない期間が生じてしまい、落ち込みました。その上、引っ越してきたのが3月の終わりでしたから、シアトルは雨期の真っ最中。いつもどんよりした天気で、それこそヨガがなかったらもっと落ち込んでいたと思います。

ビクラム・ヨガ

ビクラム・ヨガに出会ったきっかけを教えてください。

ビクラム・ヨガに出会ったのはまったくの偶然でした。それまでパワー・ヨガなど、ビクラム・ヨガとは違う種類のヨガをやったことはありましたが、シアトルに来た時に「パワー・ヨガに似たような形で、もっとハードなヨガはないか」とインターネットで探したところ、たまたま現在勤務しているヨガ・スタジオ “スウェット・ボックス・ヨガ” を発見。クラスの写真を見るとみなさんがすごく汗をかいているので、「いいかもしれない」と行ってみたら、初日からはまりました(笑)。ビクラム・ヨガを簡単に説明すると、室温を華氏105度程度に保った部屋で、90分かけて26個のポーズと2つの呼吸運動を決められた順番でやっていくというもの。インストラクターも良く、それから毎日通い始め、途中からは1日に2回も行くようになり、半年たった頃に「インストラクターになろう」と決心しました。

そこまでビクラム・ヨガに魅力を感じたのはなぜですか。

ヨガにはさまざまな種類があり、その多くは息切れするスポーツ的なものと、めい想的なもののどちらかに偏っていますが、ビクラム・ヨガはどちらの要素もバランスよく採り入れてあるヨガです。始めた当初はクラスが終わった後の爽快感が好きでした。それからいろいろな本を読んで勉強していくうちに、このヨガはインド出身のビクラム・チョーデュリー師が医学的な観点をとりいれて確立したもので、ポーズの順番や型は体への効果を考えて決められているため、医学的効果が大きいということを知ったのです。26個のポーズと2つの呼吸運動で体の筋肉をすべて使いますから、次第に自分の体のどこが弱かったのかわかりました。そういう利点は他のヨガではないでしょう。

他のスポーツとビクラム・ヨガでは大きな違いがありますね。

ヨガは普通のスポーツと違い、人生を通して継続することで自分をどんどん高めていくもの。ですから、心拍数を上げて、一瞬の喜びを得たいという人は、ヨガではなく別のことをした方がいいと思います。とは言ってもビクラム・ヨガでも心拍数はかなり上がります。また、私が普通のスポーツをやって思うのは、終わった時に疲労し、局部的に筋肉を使うことで疲れる部分が出てきてしまうこと。ビクラム・ヨガはすべての筋肉を使いますので、局部的に疲れることがなく、逆にエネルギーをもらっているようなもの。クラスで教える時はエネルギーを使いますので、その前後にエネルギーをもらうために練習するほどです。ビクラム師も、”Yoga is a gas station” と言いますが、私はヨガはエネルギーをもらうことができる唯一のスポーツだと思います。一度体験してみてくださいと言うしかありませんね!

ティーチャー・トレーニングを受けることに対する、ご家族の反応はどうでしたか。

私がビクラム・ヨガのインストラクターになるためにティーチャー・トレーニングに参加することを考え始めた時、夫が短期間だけロンドンで仕事をする話が持ち上がりました。最初は夫についてロンドンに滞在する予定でいたのですが、そもそもシアトルに引っ越す時、私自身ニューヨークはもう嫌だと思っていたとは言え、結局は夫の仕事のために自分の仕事をあきらめざるをえなかったわけです。ですから、夫についてロンドンへ行くのもいいですが、やはり自分も新たなスキルを身につけて、どこでも生きていけるような仕事をしたい、それなら大好きなビクラム・ヨガを仕事にできればと真剣に考え始めました。私のキャリアのことですから、夫ももちろん応援してくれ、ついにティーチャー・トレーニングに参加することが決定。私がトレーニングに行っていた間、夫はロンドンに行き、すべて丸く収まりました。

ティーチャー・トレーニングについて教えてください。

ティーチャー・トレーニングは、ロサンゼルスにあるビクラム・ヨガの本部で9週間にわたって行われます。このトレーニングには、インストラクターになりたい人たちが世界中から集まってきますが、私が参加した時はアメリカ・オーストラリア・ヨーロッパを中心に、インドネシアや中国といったアジアからも含め約100人の参加者が集まっていました。日本人では私以外にボストン在住の方が1人おられましたね。また、年齢も19歳から61歳までと幅広く、「60歳以上でできるなら私もできる」と励みにしていました。このトレーニングに参加するには事前の書類選考とドクターからの健康診断書、通っているヨガ・スタジオからの推薦状が必要でした。また、ビクラム・ヨガのクラスに最低半年間は通い続けていることも条件でした。

まず、午前9時のクラスではいつもの26個のポーズと2つの呼吸運動をビクラム師夫妻やシニア・ティーチャーから習います。一般に行われているクラスは90分ですが、このトレーニングでは2分間にわたって同じポーズを維持し続けるなどハードな訓練をしますので、結局2時間かけてやります。全員が汗びっしょりですから、ひしめきあってシャワーを浴びます。参加者約100人のうち約80人は女性。女性80人がロッカールームに集まるとみんなイライラしてしまい、ケンカが始まることもありました。そして、昼食を終えると、すぐにポスチャー・クリニックが始まります。ここでは1つ1つのポーズの医学的効果、ポーズの正しい入り方と出方、ケガをしている人のためのポーズの変更などを学びます。さらに、決められた台詞を一言一句たがわず暗記しなくてはなりませんので、それが私を含めた英語を母国語としていない参加者はみんな苦労していました。そのため私は朝6時に起床し、寮の前のビーチで毎朝2時間大声で練習していました。朝の波を待つサーファー達とすっかり仲良くなりましたよ。クラスでは参加者全員の前で1人ずつ台詞をすべて言い、シニア・ティーチャーから批評を受けますが、毎日100人分同じ台詞を聞くことになります。ここで一人舞台で演技するような度胸を身につけるとともに、自分らしいスタイルを確立しながらもわかりやすいインストラクションができるよう、一人一人訓練されるのです。

そして、午後5時からまた別の先生が26個のポーズと2つの呼吸運動を教えるクラスがスタート。ですからヨガのクラスは基本的には毎日2回になりますが、時々朝7時のクラスにも参加して3回クラスを受けたりしていました。今から考えると異常なエネルギーがありましたね。トレーニング参加者以外に、外部から通っている一般の生徒さんたちもクラスを受けられるので300人近くの人が大部屋で汗を飛び散らせながらヨガをします。これは毎回圧巻で、エネルギーをシェアしながらあんなに自分をプッシュしたのは初めての経験でした。かなりインテンスです。これを午後7時ごろに終えて夕食を食べると、午後8時からビクラム師や医師による講義が始まります。ビクラム師の場合はインドの哲学やヨギのライフスタイル、結婚や人生について夜中まで語ります。ビクラム師の話す東洋文化というのは日本の昔を思い浮かべれば理解できることが多いのですが、アメリカ人や他の欧米から来た参加者の多くはその文化のギャップに驚いていたようです。なにしろインド式をそのままロサンゼルスで貫いているのがビクラム師であり、何事もインド式に9週間進められるのですから。それをずっとすわったまま聴くのですが、眠りそうになったりすると怒鳴られます(笑)。ヨギというのはとても少ない睡眠時間と栄養分で生きていられるそうで、私たちもそれにあわせるようにしなければならず、大変でした。講義が終わると、みんなでバンに乗って約40分離れた寮に戻り、翌日の2食分のお弁当を作ってからようやく睡眠をとります。

この寮生活も今考えるとよくやったなあ、と思います。私の場合は文化が違う初対面の女性5人との同居でしたので、気が狂いそうになることもありました。この年になってそんな集団生活をするとは思っていませんでしたが、これも訓練の1つと思って耐えました。毎日の食事も自分で作りましたが、あれほど食生活について考えたのは初めてでしたね(笑)。そういった精神的ストレスを乗り越える一方で、体力の限界を感じました。また、トレーニングの最初のころに水を飲み過ぎて体重が10ポンドも増え、そのおかげで体を管理することも学びました。でも、最初は「あと何日」と数えてばかりだったのが、5週間も経つと日を数えるのをやめ、その一瞬を全力で生きるようになっていきました。

ストレスの多かった集団生活でしたが、目的が同じ同志が100人集まって9週間べったり一緒に過ごしたことでたくさんの友情が生まれました。今でも仲間達とはメールなどで近況を報告しあっています。マニアックにヨガについて語ることがきる唯一の仲間たちです。たくさんの汗と涙を一緒に流しましたから。ある意味では軍隊のブート・キャンプのような連帯感かもしれません。

ティーチャー・トレーニングで得たものは大きかったようですね。

そうですね。自分の限界を知ることもプログラムの1つですが、トレーニング中は自分をプッシュせざるを得ない状況にありました。私はとにかくケガをしないようにすることで精一杯でしたが、テニスひじの人がテニスをし続けたら悪くなる一方なのと同じことで、中にはプッシュしすぎて肩や膝を痛めてしまう人も。どのようなスポーツでも正しくプレーしなければケガをする危険性がありますが、ヨガもポーズに正しく入って、正しく出る必要があります。さらに、ビクラム・ヨガでは室内を暑くし、柔軟性を高め、ディープなストレッチをし、酸素が筋肉に入りやすくするという特徴があります。

体のコンディションはその時によって違いますし、競争ではありませんので、自分に正直になることと、その時の110%を出すことが1つの目標でもあります。ここでエゴが出てしまうと無理をしたり、必要以上にがんばりすぎて結局最後までもたない、といったことにもなります。ビクラム・ヨガのもう1つの特徴に鏡を使うことがありますが、常に自分の顔を見ていなければならず、これはビギナーにはとても辛いこと。自分と向き合う、そしてありのままの姿を認めること、ここがスタート地点となります。また、ビギナーにとって大切なのは、きちんと教えてくれるいいインストラクターにつき、基本に忠実にステップ・バイ・ステップでやること、自分の弱点を理解してプッシュしすぎないことです。インストラクターはそのためにいるのですから、よく相談するようにしましょう。教えに忠実に正しくやれば、ケガはしないと思いますので、ちゃんとしたクラスを受けずに自宅でちょっと真似をしてみるというのは、避けていただきたいです。私ももともと体は硬い方でしたし、長年の運動不足がたたって、ヨガを始めたころは「こんなにも体力がないのか」と落ち込みました。幼いころにバレエをやっていましたが、それも10年以上前の話。ニューヨークでサルサをやっていましたが、あれは運動のうちに入りません。その上、タバコも吸うなどといった不健康な生活を送っていましたので、これを機に自分の内側を浄化しようという意識が高まったのかもしれません。また、トレーニングを終えてから、自分に不必要なものを切っていく勇気が持てるようになりました。人生には、新しい自分になって前に進んでいくことが必要な時がありますよね。この数年で自分の生活スタイルは完全に変わったと思います。仕事や人間関係でのストレスを外で発散するのではなく、自分の中で解決できるようにもなりました。

ビクラム・ヨガ・インストラクターとして

よいクラスを行うために心がけておられることはありますか。

クラスで医学的効果について話す必要はありませんが、私はポーズの合い間にいろいろ教えるようにしています。そうすると生徒さんの気合いの入れ方が違ってくるからです。例えば高血圧や関節炎で悩んでいる人が「このポーズはできないんじゃないか」と思っていても、「このポーズはその病気・症状にいい」と聞けば、がんばってポーズをとるようになるのです。そのポーズができる・できないというよりも、体にいいことをしているという意識と、ヨガはライフタイム・プロセスなので、常に上達していくようにする努力があればよいのです。このスタジオには経営者を含む7人のインストラクターがいますが、常に練習して向上するようにしています。もちろん、後退してしまう時もありますが、その日・その時の状態を受け入れ、翌日は新しい日であると考えて努力するのみです。

今年に入って初めて日本語によるクラスをされたそうですが、その成果は。

アメリカ人や、こちらに長く住んでおられる日本人も、”lock your elbow” と言われてもピンと来ないこともありますので、日本人向けに英語のダイアログを日本語に直してやってみました。約10人の方々が参加して下さり、とても楽しかったですよ。でもすべて日本語で暗記するのは難しかったので、本来の英語のダイアログを混ぜながらやり、今ではそのうち数人がレギュラーのクラスをとられています。アメリカ人の生徒さんは「気持ちよかった!」だけだったり、出席も不規則だったりしますが、日本人の生徒さんは規則的なスケジュールでクラスに来て下さいますし、ちゃんとビクラム・ヨガの本を読んで勉強され、「このポーズはこれこれにいいんですね」と逆に言ってくださったりします。とても嬉しいです。やってよかったと思いました。

これからヨガ人口がさらに増えていくと思いますが。

統計によると、ヨガを始めて一時的にはまっても1年後には25%、3年後には10%の人しか続けていないそうです。ヨガは続けることが大切ですから、「やせたい」といった一時的な目標もいいですが、生活のルーティーンにしていくのがいいですね。また、これからはケガをしている人や腰痛などに悩まされている人にも、セラピーとして来てほしいと思います。たいていの人は「体が曲がらないから」「手が挙がらないから」といった理由から「行っても仕方がない」と思われていたりしますが、私も昔の仕事で営業カバンをかけていた右肩が上がって背骨が曲がり、腰痛に悩まされ続けていたのが、ヨガを定期的にやるようになってから治りました。ヨガを始める前にカイロプラクティックの治療を受けて治りつつありましたが、私の場合はヨガという運動をして治る方法を見つけることができて本当によかったと思っています。また、ヨガは女性のものと思っている男性が多いのも残念ですね。ビクラム・ヨガをスポーツ感覚でとらえ、男性にもどんどん来ていただきたいです。普段からジムなどで定期的に身体を鍛えていて体力に自信がある!という方々もビクラム・ヨガをやってみて「こんなにチャレンジングだとは」と驚かれる方が多いです。また、クラスでは女性はぴったりしたタンクトップにショーツ、男性はショーツのみという格好になりますから、みんなが自分を見ているのではという自意識過剰になってしまう人もいるようです。1度来てみるとよくわかりますが、みんな自分のことに忙しく、周りを気にするひまはないはずですよ(笑)。

生徒さんの中には重度の糖尿病の方 数ヶ月前に足の骨を折ったばかりの方、妊娠されている方、パーキンソン病の方、高血圧の方、ADD(Attention Deficit Disorder)の方など実にさまざまな方々がいらっしゃいます。皆さんがいろいろな意味で自分と闘って何かを克服されたい方々ばかり。こうして多面的な効果からアメリカや欧米ではヨガが認められていますが、日本でも5年遅れくらいでヨガが人々の生活に大きく根付いていくと思います。そういった方々を教えさせていただく機会に恵まれ、私自身も毎日多くを学ばせていただいてます。

ビクラム・ヨガは精神力を高める要素も大きいですね。

ビクラム師は、ポーズに正しく入ることと、あきらめない精神力を強調しています。また、「ビクラム・ヨガを通して忍耐力・持続力・意思力などを強化すれば、君たちの人生は楽になるだろう」と言います。私もそれを信じています。

最初は自分の体が目に見えて変わっていくのが嬉しくて、もっと健康になろうと考えてクラスに通っていましたが、今はめい想的な要素も大きいです。と言っても、ヨガをやりながらどこかにトリップしているというわけではないですよ(笑)。そのまったく逆で、ポーズに全身全霊で集中しているのです。毎日の生活で90分間も1人になって与えられたことを一心にやる機会というのは、現代人にはまずないでしょう。クラスにいても「今日は何を食べようか」「明日はあれの支払いをしないと」など、先のことを考えてしまう自分がいて、ポーズに集中すること自体が難しい。ですから、ビクラム師の言う “Stay present and empty your mind” はとても大切なことで、それで人生がすごく楽になることがわかりました。自分の手の届かないところにある将来のことをいたずらに気にしても、過去のことをくよくよ考えてもどうしようもありません。それだったら今このポーズを全力を出し切ってやってみるしかない。そのようにして、気づいたら90分経っていたというのが理想ですね。私も人間ですから心配ごとはありますが、この教えを理解してからは周りのことを不必要に気にすることも、昔ほど自分を落ち込ませることもなくなりました。

ビクラム・ヨガは体にいいことずくめですが、このように精神面でもいいことがあることをもっとたくさんの人にわかってもらいたい。でもこういう話をしようとすると、変な人に思われてしまいがちなので、難しいですね。これは宗教でもなんでもなく、感じ方は人それぞれで、私にとってはこの精神的な部分が大きく、やってよかったな、こういうふうに楽に生きられるならどうしてもっと早くやらなかったんだろう、と今になって思うのです。せこせこしていた自分とか、仕事とキャリアを何よりも優先していた自分とか、そういったことがあってこそ今の自分があるのかもしれませんが、今を一生懸命生きていれば、次の日に死んでもたぶん大丈夫だなと。これはヨガのいいところだと思います。1回でもヨガをやったことがある方はわかってくださるでしょう。

今後の抱負をお聞かせ下さい。

インストラクターとしてはまだ始まったばかりですので、もっとスキルを身につけて、今後はオリジナリティのあるインストラクターになりたいと思っています。また、もともと体力がある人や、体が柔らかい人は、できないものはできない、ということを忘れがち。「どうしてこんな簡単なことが出来ないの?」と思ってしまうのです。これではいい先生にはなれません。最初から体力があって、もともと体がやわらかくて、という私ではないからこそ、90分のクラスで体力がもたない人の気持ちがわかります。ビギナーだと暑い部屋にいるだけで体力を消耗する人もいますし、頭がぼんやりして自分の名前を呼ばれても気づかない人もいます。そういう基本ですらチャレンジなのですから、その中でポーズをとるのはさらに難しい。ヨガは「ここまでできればいい」「これができなければ駄目だ」というものではなく、ライフタイム・プロセスなのだということを理解し、生徒さんをうまく励まして伸ばせるようになりたいですね。私もいろいろな生徒さんを見てきていますが、今では体型を見て2回ほど教えれば、その人が何ができて何ができないかだいたいわかるようになりました。

また、クラスに来る目的は、来月までにやせるためだったり、仕事のストレス発散だったり、毎日のめい想のためだったり、腰痛を治すためだったりと、人によって異なります。ダイアログは1つしかありませんので、1人1人にあわせて教えることはできませんが、なるべく多くの人に終わった後に充実感を与えられるインストラクターを目指しています。また、将来的には自分のスタジオを持ちたいですね。ヨガに限らず多面的な “癒し” と “心と身体の向上” を目指した空間を計画しています。シアトルにはもうビクラム・ヨガが広まっていますので、郊外でのスタジオ設立になるかと思います。また、ちょっとグローバルな表現になりますが、私自身ヨガを続けていくことで健康体を保ち、精神的にも落ち着いて過ごせるようになり、他人にも優しくすることができるようになりました。一人一人が心と身体の平穏を保つことができれば世界の平和にも繋がるのではと考えています。そしてこのように人々を癒すような職業につけたことを幸運に思います。

【関連サイト】
Bikram Yoga

掲載:2004年7月

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