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第55回 無言のメッセージ

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(1)持続可能な未来を共創する探究学習の場・「サス学」アカデミー

「一生いたかった!」残念極まりないといった表情を覗かせながら、今日も娘が言う。「あれが本当の学校だったら、いいのに!」 三井物産主催による全5日間のワークショップに連日嬉々として通っていた娘。7月下旬、各地から集まった25人の小学生(4~6年生)が、持続可能な未来の共創を目指す全5日間の「サス学」アカデミーに参加した。

ちなみに、「サス学」は三井物産の登録商標である。未来の担い手である子供たちが持続可能(サステナブル)な未来を創る力を育むための学びを、当社では「サス学」と名づけている。「サス学」では、物事を「ときほぐして編み込む」という考え方を重視しており、普段見慣れたものや、よく知っていることを一度ときほぐし、「自然にやさしい」「お年寄りに役立つ」「テクノロジー」といった別のアイデアと繋げて編み込み、新しい価値を創造する。地球温暖化や高齢化などを自分たちの課題として考え、さまざまな角度から解決策を見つけていくことを目指す。2日目には、「未来につながる仕事を学ぼう」というテーマのもと、マレーシアのメディニ地区で近未来のスマートシティ(環境配慮型都市)開発に取り組む三井物産の社員二人が、現地からウェブカメラを通して子供たちの質問に答えてくれた。3日目と最終日の5日目には、未来の仕事そして未来の都市について、個人ならびにグループでのプレゼンテーションが行われた。プレゼンテーション発表会は保護者も見学できるため、私も上京してきた母と共に足を運んだ。

「サス学」アカデミーで、娘のチーム「スペースサイエンス」が作った未来都市についてのボード

「サス学」アカデミーで、娘のチーム「スペースサイエンス」が作った未来都市についてのボード

次世代育成という名目で幾多の日本企業が学校訪問をして行う「出張授業」では、ゲスト講師がレクチャーをするのが一般的パターンだ。「サス学」アカデミーはそれとは一線を画して、5日間という一定期間を要するプログラムであり(もっとも、5日はアメリカのサマープログラムと比較すれば長い部類には入らないが、日本では稀有らしい)、その恩恵は大きい。持続可能な未来の実現というグローバルなテーマを、インプット(学ぶ)とアウトプット(伝える)の両面から、より深く掘り下げて探究することが可能になるからである。

プレゼンテーション発表会に足を運ぶと、子供たちの笑顔が明るく、心から満喫している様子が空気を通じて伝わってきた。シャイだとばかり思っていた娘も、「地球温暖化が進んでも快適、世界中の人が集まり仲良くなれる」Ocean Park(海中テーマパーク)の開発について、予想より堂々と話していた。他にも、「超物流センターシステム構築」や「グローバル農家」など、次々に楽しい案が飛び出した。次世代を担う彼らが成長した時、それぞれが築き上げる世界へと夢が広がる。皆の澄んだ瞳が映し出す未来に、ワクワクとした気持ちが溢れ出した。

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