新聞や雑誌、商品の説明書、インターネットの記事、ゲームの攻略本など、知識を得る時、何かを追究しようとした時、私たちが読む文章の多くは説明文です。子ども達が将来生きていく中で、出会う機会が最も多い文章と言えます。
説明文は、ある事がらについてすじ道を立てて説明した文章で、筆者の主張を読者に理解してもらうことを目的として書かれています。読解するには、テーマと筆者が伝えたいことを捉えることが大切です。そのために「はじめ」「なか」「おわり」という文章の三構成や「とい」と「こたえ」という用語を小学1年生から学習します。書き出しと文末表現、接続詞や項目立てなどに着目し、筆者の主張がどのようなすじ道であるかを読み解く学習のスタートです。この読み解く力は、文章を書くことや会話にも生かされ、これからの社会で必要とされる考える力をつけることにもつながります。日本語を第二言語として学ぶ子ども達に特に身につけさせたい力です。
BCA 土曜学校では、堀田龍也先生(東北大学大学院情報科学研究科教授)、谷和樹先生(玉川大学大学院教育学研究科教授)より、「説明文で学ぶ文章の型は、英語の説明文にも通用するものであり、問いに正対するとか、ロジカルに文章を読み進めること自体は言語には関係なく、それが日本語ではどのように表現されているかを土曜学校の国語で学ばせたい、だから説明文を重視すべきだ」というご指導を頂き、年間計画に教科書の説明文を全て入れて、指導の充実を目指しています。
カリキュラムを編成する際の基準となる日本の学習指導要領には、説明的な文章について下記のポイントが示されています。
1・3年「順序を考えながら、内容を捉える」
3・4年「段落相互の関係や、考えと理由や事例との関係を捉える」
5・6年「事実と感想、意見などとの関係、文章全体の構成を捉えて要旨を把握する」
教科書(光村図書)では:
- 1年生が初めて出会う説明文は「くちばし」。きつつき、おうむ、はちどりのくちばしを説明するために、質問に答える謎解きのように書かれています。
- 2年生の「たんぽぽのちえ」は、たんぽぽが種を散らせて仲間を増やしていく過程を時間の順序に従って述べています。
- 3年生の「こまを楽しむ」は、こまの種類とそれぞれの特徴を説明するために、段落とその中心を捉え文章全体の組み立てや説明の仕方の工夫を学びます。
- 4年生の「アップとルーズで伝える」は、写真や図と本文を対応させて読むことによって、対比的な段落構成をつかみます。
- 5年生の「言葉の意味が分かること」は、文化や言葉に表れたものの見方の特徴について、「はじめ」と「おわり」に筆者の考え、「なか」で定義や事例が示されています。
- 6年生の「時計の時間と心の時間」は、時計が表す時間と体感する時間の違いとその関連について、筆者の主張とそれを支える事例の関係を捉えます。
各学年の教科書の最初の説明文をあげましたが、その他の文章も優れた説明文が選択され、学年で教えるべきことが明確に示してあります。
本校では、学年の全クラスを同じ内容で指導すること、1年から6年までの指導内容のつながり(縦のスパイラル)を意識した指導を行っています。子ども達に読解の力をつけさせるには、今教えていることが前の学年の学びとどのように関係し、次の学年の学びにどのようにつながっていくかをまず指導者が見すえ、子ども達に学んでいることのつながりが見えるようにしていくことが重要だと考えるからです。汎用的な能力の育成を重視する世界的な流れを受け、系統性を意識したカリキュラムとその指導は、これからいっそう求められていくことと思います。
「つなぎ言葉に注目する子が増えてきました。」「子ども達から文章構成の『はじめ・なか・おわり』がすぐ出てきました。前の学年の指導が生きているんですね。」などという先生方の声が聞こえてきます。学年の発達段階に応じた教材文で系統的に指導し、読解力を積み上げるというBCA土曜学校のスタイルが少しずつ出来上がってきていることを嬉しく思っているところです。
これからも、子ども達の「わかった!」の笑顔が溢れる楽しい日本語学習を目指して、BCA土曜学校の熱心な先生方とともに、限られた時間の中で効率よく力の付く授業を追究していきたいと思います。
このエッセイの内容は執筆者の個人的な意見・見解に基づいたものであり、junglecity.com の公式見解を表明しているものではありません。