筆者プロフィール:ネルソン紀世子
東京出身。高校時代のイギリス短期留学で世界の広さ・楽しさを知り、日本の大学を卒業後、ワシントン州の大学で国際ビジネスを学ぶ。卒業後は外資系航空会社での乗務員としての勤務を経て、航空機器関連の日系企業でプログラム・マネジメントに従事。2011年に KOKO BRIDAL を起業。米国ブライダルコンサルタント協会&国際特別イベント協会のメンバー。一児の母でもある。公式サイトはこちら。
ウェディング・プランナーとは:
結婚式のプランニングをし新郎新婦のアドバイザー的な役割も担う職業。ブライダルコーディネーターやウェディングプロデューサーともいう。挙式から披露宴、料理、花、写真、衣装、ヘアメイク、引出物等の提案・手配から金銭的な調整、当日のアテンドまで、結婚式をトータルでプロデュースする仕事である。(Wikipedia)
昔は自分がウェディング・プランナーになるなんて思ってもいませんでした。日本では最近人気の職業と聞きますが、日本に住んでいた時はこのような職業があることすら知りませんでした。若い頃の夢は幼稚園の保母さん。でも、高校時代にイギリスに短期留学をして世界の広さ・楽しさを知り、日本の大学生活を楽しみ(遊び)、ワシントン州の大学で国際ビジネスを勉強した後、外資系航空会社にて5年間乗務して結婚しました。その後、引越し先のフロリダで娘を出産。起業を決意する前は、航空機器関連の日系企業にてプログラム・マネジメントの仕事をしていました。
2011年にKOKO BRIDALを起業したきっかけは何だったのでしょうか? 新しいもの好き、人のお世話が好き、業者さんとの交渉を苦とは思わない、体力に自信がある、ワシントン州には日本人ウェディング・イベントプランナーはいない。ウェディングという人の幸せ作りに携われば、少しは日本人のお役に立てるかなという、単純な動機でした。それから2年。たくさんの方々に支えられたおかげで、今年、Wedding Industry Experts コンテストにてワシントン州 Wedding Planning Service Winner 賞を受賞することができました。
「アメリカで、日本の “おもてなし” を大切したサービスをご提供する」というのが、KOKO BRIDAL の理念。それは大学卒業後に就職した外資系航空会社での厳しいトレーニングで繰り返し教わったことでもあります。訓練終了後の最終面接で教官からいただいたお言葉は、「紀世子さんは英語がお上手なので、きっとアメリカ人乗務員と仲良くなられると思います。ただ、あなたは日本人のお客様のための日本人乗務員です。それを忘れないように。」
(余談ですが、教官がおっしゃった通り、アメリカ人乗務員と仲良くなりすぎ、その一人は今年で結婚14年目になる夫です。)
その外資系航空会社では、日米往復航路には日本人乗務員が一便に1名乗務し、機内通訳を担当していました。でも、文化や考え方の違いで起きる問題の状況を把握して的確に対応し、その場を丸く治めるというのも日本人乗務員の仕事の一つでした。振り返ってみると、この時の経験が、アメリカにおいても日本的な質の高いサービス・物を求める価格交渉で物怖じしない理由になっているのかもしれません。
KOKO BRIDAL のお客様は、日本人同士のご夫婦はもちろん、アメリカ人と日本人、日本人と日系アメリカ人といった国際結婚のご夫婦が80%以上を占めます。新郎新婦からご相談を受けるのは、言葉や文化の異なる国での結婚式に出席されるご両親のこと。リハーサル・ディナー、結婚式、披露宴という子供達の晴れ舞台で、どれだけお互いの家族が言葉や文化の壁を越え、親としての愛情を共有しながらリラックスして幸せに過ごしてもらえるか。それは、6ヶ月から1年のプランニングを通じて、私が覚えておかなくてはならない業務の一つです。そして、新しいスタートを家族に見守られながら愛情あふれる時間を過ごす新郎新婦に、家族が一つになって安心するのを感じてもらいたいというのが、国際ウェディング・プランナーの願いです。
挙式当日、本当に綺麗なオーラで幸せ一杯の新婦。立派に新しい人生の一歩を踏み出す新郎。そんなお2人を見て、幸せの涙を流す母親。少し恥ずかしそうに一番言葉少なく静かに見守る父親。毎回さまざまな人生のストーリーが見え隠れします。
ウェディング・プランナーは、そんな幸せ作りのお手伝いをさせてもらいながら、たくさんの幸せを分けていただくお仕事でもあるのです。
(掲載:2013年6月)