受精卵から胎芽へ
翌日、病院から電話があり、採取した卵子37個のうち、成熟していたのは34個、そのうち受精したのは20個と報告されました。「これから受精卵(fertilized egg)の成長を観察し、おそらく今日から3日目の43日目に子宮内に胚(embryo)を戻します」とのこと。受精した時は受精卵ですが、分裂を始めた時点で胚と呼ばれるそう。その状態が妊娠8週間まで続き、9週目から胎児(fetus)と呼ばれることになります。
また、卵子の状態が良ければ冷凍保管することができ、そうすれば今回の受精卵が着床に失敗しても、保管している卵子を受精させ、子宮内に戻すプロセスを繰り返すことができるそうです。
結局、私たちの場合、胚を子宮内に戻すのは43日目ではなく、45日目となりました。受精卵の成長が弱い場合、受精から3日目に体内に戻すそうですが、元気な場合は5日目に戻すそうです。つまり、元気な方が着床するチャンスが高いとのことでした。受精卵を子宮に戻す手術の前後には鍼の治療をすると良いと言われたので、別料金で250ドルというその鍼治療を利用することにしました。
胚を子宮へ
胚を子宮に戻すことは、トランスファー(Transfer)と呼ばれます。
採取した卵:37個
成熟していた卵:34個
受精した数:20個
5日目で生存能力があるとされた胚は10個でした。担当医師は、「5日目で生存能力があるとされるのが10個になったので、そのうち3個を子宮内に戻した方が良い」という結論に至ったと説明されました。ここでも患者である私たちの同意を求められることに驚きました。医師が「こうしなさい」と言うのではなく、患者の意思を尊重してくれることに、今度はありがたみを感じました。
トランスファー当日も、夫婦で有給休暇を取りました。トランスファーの1~2時間前にクロラゼプ酸(tranxene)を服用し、プロセスの30分前に病院に到着。
前回と同じ部屋に入って病院のガウンに着替えてから、鍼治療を受けることになりました。この鍼治療の目的は、心と体をリラックスさせること。私は鍼治療の経験はほとんどありませんでしたが、この鍼師はアメリカ人の女性で、とてもリラックスできました。
それから水を大量に飲んで膀胱を満杯にし、準備完了。膀胱を満杯にするのは、胚を入れた極細のチューブを子宮内に注入する際の調整にとても重要とのことでしたが、トイレを我慢するのは非常に辛いもの。脂汗が浮き出た状態で手術台に乗せられ、手術室まで運ばれました。
手術室では超音波で私の膀胱の状態を見て、「満杯なので問題なし」と判断されました。そして、胚の入った細長いチューブが膣の中に入れられます。今回は全身麻酔はなく、夫も付き添うことができ、プロセスの途中で励ましてくれました。
このあたりで膀胱が限界に近い状態になりましたが、これまでの努力を考え、汗を流しながら我慢。トランスファーが終わっても、ちゃんと胎芽が中に入ったことを確認するプロセスがあります。顕微鏡でチューブを確認し、トランスファーが完了したと確認されると、看護師が尿瓶を当ててくれ、”go ahead” と言いました。私はそこで看護師と夫の前でトイレをすることになりましたが、恥ずかしさなど感じているヒマはなく、本当にホッとしました。
その後、元の部屋まで手術台に乗ったまま戻り、待機していた鍼師に再び針治療を受けましたが、その時の気持ちよかったこと。そのまま寝てしまいました。しばらくして目が覚めると、そのまま退院。1日は自宅で安静にしておくようにと言われ、その日はほとんど寝て終わりました。