将来は夏にシアトル、残りは日本で過ごしたい
昔を振り返ると、人間はペットの餌として「食べ残し」を与えていました。犬は本来肉食ですが、今日でも穀物を混ぜて製造されているドッグフードがどれほど多いことか。10歳を超えた犬の50%がガンを患っているという報告もあり、食事が影響している可能性は否定できません。「K9ナチュラル」は、原材料の85%は人間食用の肉類、残りはニュージーランドの厳しい品質検査を通過した新鮮な野菜や果物、卵、緑イ貝を使っており、最高級と自負しています。
2010年、私と妻の2人だけで事業を始め、最初の2年間はほぼ休みなしでした。平日は商品を取り扱ってもらうためにペットショップなどへ営業に赴き、加えて商品の受発注や発送、経理も我々だけで行わねばなりませんでした。週末には小売店でのサンプル提供、ペットのイベントやセミナーへの参加、新規取扱店の開拓と多忙を極めました。努力が実を結び、高品質の商品に対する理解が進んだおかげで販路が広がり、今では店舗販売やオンライン販売、卸向け、動物病院と4チャンネルを確保して順調に売り上げを伸ばしています。
2014年からはフルタイム従業員3人、パート1人で運営しています。現在は私がニュージーランドからの商品の仕入れや販売マーケティングを、妻は顧客サービスや商品のブランド戦略、さらに法務や人事を担当しています。日本の消費者の目はとても肥えていますから、ブランド力アップはとても重要。品質には自信がありますから、パッケージに使う素材から写真、説明の記述や印刷の仕上がりまで厳しくチェックしています。こうした点は、日本の商慣習を知る妻に助けられています。
25年前、シアトルで私に日本行きを促してくれた友人とは小学生の時から仲が良く、家族ぐるみの付き合いを続けています。彼をはじめ、ビジネスで知り合った人たちや現在の仕事仲間には恵まれています。そしてもちろん、公私にわたりベスト・パートナーである妻の存在なくして、今の私はありません。
事業は軌道に乗り、すっかり日本に根を下ろしています。しかし、シアトルが私の故郷であることに変わりはありません。家族や親友にもたまには会いたい。今も1年に1度は里帰りしていますが、ゆくゆくは夏の過ごしやすい時期はシアトルで、残りは日本で過ごすようなライフスタイルを追求できればと願っています。
シアトルのお気に入りスポット
日本での生活が25年に及ぶスティーブさんは、シアトルに帰省した際に「ふるさとの味」を求めて必ず立ち寄る店がある。ひとつは、ステーキハウスの Metropolitan Grill、もうひとつは、Chandler’s Crabhouse だ。とくに Chandler’s では、一時帰国から日本に戻る前の最後の日に、両親や家族と一緒に訪れてシアトル名物「ダンジネス・クラブ」に舌鼓を打つのが恒例だそう。以前は横浜にも店舗があったがすでに閉鎖しており、残念がっていた。
取材・文・一部写真:船橋ヒトシ
すてぃーぶ・こりんず/シアトル生まれ。ワシントン州立大学卒業後、1990年に英会話学校講師として来日。1993年に外資系金融機関に転職、1996年に妻の美由記さんと出会う。退職後、オンライン金融業の起業などを経て2010年、ニュージーランドのペットフード製造・販売「K9 ナチュラルフード」の日本販売代理店「株式会社 K9 ナチュラルジャパン」(東京・港)を設立、最高経営責任者(CEO)に就任。
【公式サイト】 K9 ナチュラル