ヘザー・ユールさん
カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。エベレット・コミュニティ・カレッジのライブラリ・メディア・センターでライブラリアンとして勤務。
初めて着物と出会ったのは、まだとても幼かった頃、サンタ・モニカ・モールに着物のお店があると母に教えられた時です。私は覚えていないのですが、そのお店の窓から離れようとしなかったそうです。
博物館でとても豪華な着物をたくさん見てきました。ロサンゼルス美術館で能楽の衣装の展示会が開催された時は、日本美術のクラスの一環でその写真を研究したものです。コスチュームを自分で作ったりしていたので、世界中のあらゆる時代の衣装に知的意欲をかきたてられました。
でも、初めて伝統的な着物をさわり、着ることができたのは、それからもっと後、妹のジャッキーが JET プログラムを通じて日本で2年間にわたり英語を教えていた時です。彼女のところへ2回遊びに行きましたが、ある時、2人で奈良に行った時、雪が激しく降ってきたので、モールの中にあった着物の店に入りました。私は布地オタクなので、そこにあった本当の絹や、すばらしい色や模様に感激しました。
私はアメリカでも大柄な方なので、自分が着られる着物があるとは思わず、布地として使うつもりで、10ドルの着物を買いました。スタジオジブリの映画に出てくる夏の緑の葉っぱにインスパイアされた、幾重にもなった緑の葉っぱに赤・黄色・ピンクの花を散らした模様のものです。ホテルに帰って着てみたところ、驚いたことに、私の体にぴったりでした。Kismet(イスラム教で「アラーの御心」の意味)。今でもこの着物が私が一番好きな着物です。
前述のとおり私は布地オタクで、縫い物をする母と乳母から裁縫を習いました。母は機織もする人で、いろいろな繊維を使ったクラフトを作り、自然の布地の価値を教えてくれました。伝統的な布地の手触りは本当にすばらしいもの。お店でもポリエステルではない布地に触った時は「Ooooo!」と思います。着物の絹でできた着物が足首に触れる感じが大好きです。
着物を愛する気持ちは時間がたつにつれて変わってきています。私はライブラリアンでもあるので、リサーチが大好き。着物の文化的な歴史、特に着物に関連する言葉のとりこになりました。袖の長さから模様、色、すべてに意味があります。本を読むように着物を「読む」のが大好きです。そして着物の装飾の組み合わせを通じて目に見える詩を作ることができるのも大好きです。
着物の着付けは、YouTube にたくさんあるチュートリアルで学びました。世界に着物のことを伝えたい「着道楽」の人たちが書いたすばらしいブログもあります。でも、練習に勝るものはありません。練習あるのみです。着物を買えるウェブサイトで一番好きなサイトは、Ichiroya です。特に帯。販売している着物についての情報のリサーチがすばらしいです。ニュースレターも購読していますが、いつも学ぶことがあります。そして、Kimonoya で着物を、Sakura Yukata Market で襦袢を、そして特に大きいサイズで簡単に洗えるポリエステルの着物などいろいろなものを楽天で購入します。女袴(おんなばかま)も購入しましたが、今でもちゃんと着ることができます。また、Liza Crihfield Dalby の『Kimono: Fashioning Culture』は、着物の歴史やシンボルについて学べるすばらしい本。テキストのみの白黒版もありますが、イラスト付の University of Washington Press 版(1993年出版)がおすすめです。
シアトルで開催される米国北西部最大のアニメと漫画のコンベンション、Sakura-con には、いつも着物を着て参加しています。夏には浴衣もしょっちゅう着ますし、お盆のイベントにも浴衣で参加します。特別なイベントにも着物を着ることがあります。自分の結婚式には色掛下と打掛を着ました。女袴(おんなばかま)も大好き。明治時代に女子生徒や女性教師が着ていたもので、今では卒業式で見るぐらいになりましたが、私はしょっちゅう着ています。おしゃれなブーツをはいてアクティブに動き回ることもできて、他の着物のようにすそを心配する必要がありません。また、大柄な西洋人の女性としては、体の前の部分を隠してくれる袴のおかげで着物の幅を心配する必要もなくなります。袴って格好いいですよね。大好きです。
エベレット・コミュニティ・カレッジの日本ビジネス・インスチチュートで仕事ができ、新しいディレクターの美希・アスプリーさんと一緒にジャパニーズ・クラブのアドバイザーができることをとても幸運に思っています。毎年、無料の文化芸術イベント『JAMAF: Japanese Anime & Manga Arts Festival』を開催しており、今年は5月18日と19日に開催することになっています。その一環として、どなたでも参加できる浴衣の着付けもします。コミュニティに日本の伝統衣装を紹介する良い機会です。ぜひご参加ください。
英文・写真:Heather Jean Uhl 翻訳:編集部