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アメリカでの飲酒運転は刑事法違反!逮捕後の流れは?ビザへの影響は?

アメリカでは飲酒運転は刑事法違反

日本からシアトルの系列企業に転勤になったBさんは、会社の同僚との飲み会から帰宅途中に赤色灯を点灯させたパトカーに停車を命じられました。

直接の原因は、片側のテールランプが切れていたためでしたが、いくつかの質疑応答の後に、車から降りて、バランス検査などの飲酒検査を受けました。その後、アルコール濃度測定検査を受けた結果、血中アルコール濃度(BAC: Blood Alcohol Level)がアメリカでの法定容認基準である0.08%を上回る0.1であることが判明。その場で手錠を掛けられて警察署に連行され、指紋採取と写真撮影を経て、拘置所に一晩留置された後、保釈金を支払って帰宅を許されました。

この経験で、B さんは、アメリカでは飲酒運転(DUI:Driving Under Influence)は交通法違反ではなく、刑事法違反であることを知りました。

逮捕後の流れ

弁護士に付き添われて裁判所に出廷した B さんは、罰金および免許停止処分と共に、アルコール査定(アルコール依存症や乱用の査定)および DUI 被害者パネルへの参加を命じられました。さらに、アルコール査定でアルコール乱用と診断されたため、その後の法廷審問で6ヶ月間の治療と禁酒も命じられました。

禁酒しているかどうかの確認は、不定期の呼び出しで受けさせられる尿検査によって行われます。この検査で陰性結果が出れば禁酒していることを証明できます。B さんにとって、この治療および尿検査は、金銭的・時間的・精神的な負担となりましたが、一番の不安は、H-1Bビザの延長申請手続きをしている最中に犯してしまった DUI での逮捕がビザにどう影響するかでした。

逮捕時に撮影された写真と指紋は、国のデータベースに永久保存されます。移民局は申請者の逮捕歴を重点的にチェックしており、例えば労働許可申請やビザの延長申請、結婚によるビザの切替え申請、グリーンカードの申請、市民権の申請などの際にこのデータベースをチェックします。

ここで初めて事の重大さに気づいたBさんは事態を収拾するため、移民法弁護士と刑事法弁護士に相談し、その相談料はかなり高額になりました。

電車やバスなどの公共交通手段が日本ほど発達していないアメリカでは、少々飲酒しても自分で車を運転して帰宅する人が多いのが現状です。蛇行運転、車両の整備不良や速度違反など、別の理由がない限り、飲酒運転は発覚しにくいものですが、ひとたび DUI 違反を起こした場合、上記の問題のほかに、例えば事故に巻き込まれたり、事故を起こしたりしても、保険会社が支払いを拒否するなど深刻な問題に繋がりかねません。

ワシントン州の免許停止処分を受けた場合、一般的に、アルコール乱用または依存症の治療を開始した後、治療を提供する側が DOL(Department of Licensing)に報告書を送付し、SR22(ハイリスク・ドライバーのための個人自動車保険)の取得や Ignition Interlock Device(エンジンをかける時に息を吹き込んで呼気中のアルコール濃度の有無を検知する装置)の設置を経て、条件付き免許の発行が認められます。

Deferred Prosecution(訴追延期措置)とは?!

ワシントン州では、過去に複数の DUI 違反があり、アルコール依存症と診断され、一定の基準を満たした場合に限り、Deferred Prosecution(訴追延期措置)という救済措置があります。

これは、アルコール依存症のせいで DUI 違反を起こしてしまうという解釈に基づき、2年間の治療を受けて依存症を克服し、他の交通法違反や刑法違反を起こさないことを条件に過去の DUI 違反を不起訴処分にする措置です。ビザへの影響が懸念される場合、初めての違反でもこの救済措置を模索するケースもあります。

Asian Counseling and Referral Services
橋本晴美 MA, CDP, LHMC, MAC, NCPG-II

総合商社や法律事務所の勤務を経て、1999年に渡米。臨床心理学の修士課程で精神障害、依存症、薬物中毒などを学びました。2004年よりシアトルのAsian Counseling and Referral Services にて、メンタルヘルス、薬物依存症、ギャンブル依存症などのカウンセリングやコンサルテーションを行っています。

  • Licensed Mental Health Counselor
  • Licensed Chemical Dependency Professional
  • National Certified Problem Gambling Counselor II
  • Certified Geriatric Mental Health Specialist
  • NCGC Board Approved Clinical Consultant

【電話】 (206) 695-5968
【メール】 harumih@acrs.org
【公式サイト】 www.acrs.org

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、専門家にご相談ください。

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