夫婦の離婚予測が90%以上の確率で的中する方法を打ち出したことで知られる The Gottman Institute の研究者は、「結婚の質は夫婦間のコミュニケーション力で計ることができる」と主張します。
議論する際に相手の言い分を聴き、相手の見解と気持ちを認めて理解する能力がある夫婦は、見解の相違や意見の違いから来る問題を解決することに長けているため、円満な関係を持続させる率が高くなります。
逆に、崩壊に向かっている婚姻関係では、夫婦のお互いへの敵対心が次のような形で日々のコミュニケーションに顕著に表れます。
(1)配偶者の人格/性格を批判する
相手の人格/性格の批判は、相手に「こうして欲しい(して欲しくない)」という要求がきちんと聞き入れてもらえていない、という気持ちから来る不満の表現です。相手にこうして欲しい、という要求をきちんと伝えてあるにも関わらず、相手の行動に変化がないことが続くと、相手の性格への批判という形で表れます。
(2)配偶者を軽蔑する
相手を軽蔑する心には、尊敬の気持ちがありません。馬鹿にする、敵意のあるユーモアで相手を笑いの対象にする、嫌みや皮肉を言う、ボディランゲージを使って相手を馬鹿にする、などが含まれます。
(3)防衛的態度を取る
防衛的態度とは「相手が一方的に悪い」という気持ちから来ます。いわれの無い批判を受けたときなどは自己を防衛するのが当然ですが、自分にも落ち度がある場合にさえオープンなコミュニケーションをとることをせずに、責任逃れ、言い訳、揚げ足を取る、泣き言を言う、などが防衛的態度にあたります。
(4)妨害的/非協力的態度を取る
妨害的/非協力的態度とは、会話において、怒りの気持ちなどをはっきりと表現することなく、かといって協力的な態度をとるわけでもなく、だんまりを決め込んだり、内に引きこもるなどによって、不満・不賛成を表現する形がそうです。つかみどころのない不快感を相手に与える作用があります。
アメリカでの研究によると、上記の要因が当てはまる夫婦は、結婚後平均5.6年で離婚するという結果が出ています。
内に引きこもることと怒りの感情を抱くことは時間が経ってからの離婚率と関連しており、そういう状況である場合は平均16.2年目に離婚するという結果が出ています。
上記の項目で思い当たることがあると感じたら、夫婦間のコミュニケーションのパターンを見つめなおしてみると良いでしょう。
戸村 みゆきさん PhD, Psychologist
臨床心理学者。1998年、シアトル大学心理学科卒業後、2002年に同大学の心理学科修士課程卒業。2010年、セイブルック大学の心理学博士課程卒業。専門は心理療法とペアレンティングエバリュエーション(Parenting Evaluation/離婚訴訟時の子育て能力審査)。日英両語で、個人、家族の諸問題に幅広く対応。豊かな人間関係を育みたい、自己の可能性を広げたい、健やかで充実した人生を送りたいと望むあなたの心の旅をサポートします。
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掲載:2012年9月
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