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第4回 子どもに離婚をどう伝えるか

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子どものある夫婦が離婚する際、別居・離婚の事実を子どもにどう伝えるかは大切な問題です。うやむやにせず、子どもの年齢や家族関係の状況を考慮に入れ、シンプルにわかりやすく、適切かつ的確に伝えましょう。

最近の研究では、両親の不仲をまったく知らなかった子どもは、両親の不仲をある程度知っていた子どもよりも親の離婚という事実を受け入れるのが難しいとの結果が出ています。この研究結果を基にすると、夫婦関係が上手く行っていないという事実を何が何でも子どもに知らせないようにするのは望ましくないことになります。

通常、離婚とは夫婦間で解決不可能な問題が生じた結果です。結婚生活を続けるのが難しくなってくると、当事者には夫婦関係の修復が可能かどうかを最終的に見極める時期があります。関係の修復が難しいとわかった時点で、子どもの心に負担にならない程度に、夫婦関係に問題があるとの事実を知らせることが、近い将来起こるかもしれない親の離婚という現実を受け入れるための心の準備につながります。夫婦が揃って子どもに話をするのが理想です。次のような内容を子どもの年齢や状況に合わせて伝えましょう。

  • お父さんとお母さんの仲はうまく行っておらず、二人は幸せな結婚生活を送ることができていない。
  • こういう状況は大人であるお父さんとお母さんにとっても辛いから、君たちもきっと辛くて怖いという気持ちを持っているだろう。
  • 先のことはまだわからないが、別居という選択も考えている。
  • 別居という選択をとる事になったら、その時はきちんと報告をする。
  • 夫婦のことは大人の問題だから、子どもが心配することではない。
  • この先何があっても、お父さんとお母さんは君たちを愛している。
  • どんなことがあっても、ずっと親子であることは変わらない。

こういう話をした後で、夫婦が話し合いなどにより問題を解決し、離婚を回避した場合でも、親の結婚の現実を知ることは子どもにとって大変貴重な経験となります。子どもはこうした経験から、結婚生活に一時的な関係の不調和が生じるのは自然なことであり、重大な問題でも効果的な方法で解決することができることを学びます。

実際に別居・離婚となったら、それを子どもに話す前に、子どものこれからの住居、誰と住むのか、といった基本的な生活環境について夫婦間であらかじめ合意しておくことが望ましいでしょう。ここでも理想は夫婦揃って離婚のニュースを子どもに伝えることです。そして次の点に気をつけて話を進めましょう。

  • 離婚の事実を、子どもの年齢に適した言葉を使って、正直かつ正確に伝えましょう。
  • 離婚に関する個人的な内容は最小限にとどめましょう。
  • 子どもにはこれから先、離婚に関して疑問があれば質問をしてもいいのだということを伝えましょう。
  • 子どもがいろんなことを疑問に思うのは当然のことで、親に自由に質問することは許されるべきです。しかし、質問の答えが個人的な内容だったり、子どもの年齢に不適切な場合は「それは大人同士で話し合うべき内容だから」というところで止めましょう。
  • 子どもがこれからどこで誰と暮らし、どの学校に通うことになるのか、といったことは子どもにとって大切な情報です。わかる範囲でできるだけの情報を提供しましょう。
  • 親の離婚を経験する子どもは両親が自分を愛しているかどうかを確認したがります。機会があるたびに言葉と行動で愛情を表現しましょう。

たとえば、小学校に上がる前の子どもには次のような内容が適切でしょう。

「お母さんとお父さんはここのところずっとけんかをしていたでしょう?それでお母さんとお父さんはこれからのことを話し合って、別々のところに暮らすことに決めました。あなたはこれからもお母さんとこのお家で暮らします。お父さんは別のところに引っ越します。そしてあなたは一週間のほとんどをお母さんと暮らして、週末にはお父さんの新しいお家で一緒に暮らすことになります。お母さんとお父さんは、あなたがお母さんとお父さんの両方と十分に時間を過ごせるよう、一生懸命に計画を立てました。お母さんとお父さんが一緒に暮らさなくなることは悲しいことだけれど、それは大人の問題で、お母さんとお父さんがちゃんと解決していく問題です。あなたは心配したり、お母さんとお父さんを仲直りさせようとしてがんばらなくていいのですよ。そして今回のことはあなたが何か悪いことをしたからじゃないということもよくわかってね。 そしてお母さんとお父さんは今までと同じようにあなたのことを愛しています。そしてこれからもちゃんとあなたのことを育てていくから心配しないでね。 」

親が離婚を子どもに伝えるには勇気がいります。しかし、逃げたりせず、誤魔化さず、事実を誠実に伝えることは、子どもの人格を尊重していることの表れであるだけなく、親として子どもがこれからのチャレンジを乗り切るためのサポートをしていく準備があるという意思表示にもなり、子どもの不安を和らげ、親子の信頼関係を築くのに役立ちます。離婚を伝える場を、これからの親子の絆を深めるために与えられた場として利用することが良いのではないかと思います。

戸村 みゆきさん PhD, Psychologist

臨床心理学者。1998年、シアトル大学心理学科卒業後、2002年に同大学の心理学科修士課程卒業。2010年、セイブルック大学の心理学博士課程卒業。専門は心理療法とペアレンティングエバリュエーション(Parenting Evaluation/離婚訴訟時の子育て能力審査)。日英両語で、個人、家族の諸問題に幅広く対応。豊かな人間関係を育みたい、自己の可能性を広げたい、健やかで充実した人生を送りたいと望むあなたの心の旅をサポートします。

【住所】 3035 Island Crest Way, Suite 108, Mercer Island, WA 98040
【電話】 (425) 429-2069
【メール】 miyuki@islandtherapy.net
【公式サイト】 www.islandtherapy.net

掲載:2012年2月

コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 このコラムから得られる情報に基づいて何らかの行動を起こされる場合は、必ず専門家に相談するようにしてください。



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