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第6回 離婚の際に必要な交渉技術(2)

離婚には悲しみ、怒り、困惑、不安など、さまざまな感情が交差し、つきまとうものです。そして、皮肉にもこのようにストレスの多い状況でこれからの生活を大きく左右する大切な事柄を決断することを強いられるのが離婚のプロセスです。しかし、感情に流されて不必要に話をこじらせると、ますますストレスの度合いが大きくなりますから、双方が気持ちよく合意に達するように努めるのが理にかなっています。相手と自分の気持ちと主張を尊重しながら、長期的に見て互いに納得いくような解決法を目指しましょう。そのためには両方が交渉における効果的なコミュニケーション法を実践する必要があります。

良い交渉とは、双方が納得できる解決に向けた協力的な話し合いのプロセスです。ここではお互いに有利な結果を導き出すために心理学者トーマス・ゴードンが提唱した6つのステップによって成り立つ “No-Lose method” をご紹介します。

  1. 問題を特定する:双方が何を必要としているのかに焦点を当てて解決すべき問題を探り、争点を定義します。相手の気持ちを汲み、ニーズを十分に聴き出すと同時に自分のニーズを率直に伝え、お互いの要求を正確に把握し合うことが目的です 。問題をはっきりさせずにお互いが納得する解決策に到達することはできません。時間をかけて争点を見極めましょう。
  2. 可能な解決案をブレインストームする:交渉者それぞれが必要とするものを得るための解決案を出来る限り導き出します。常識にとらわれすぎることなく、クリエイティブかつフレキシブルに考えを出し合いましょう。
  3. 双方のニーズに合う解決案を決定する:相手が最善だと考える解決案を聞き出し、それが自分のニーズに合うか検討し、いくつかの解決案を選びます。そして、最終的に双方にとって現在最善と考えられる解決策を導き出します。その際、解決策が自分だけでなく相手にとっても最善かどうかをお互いに確かめ合いましょう。さらに、現在の解決策は実行後に改善の余地があることを確認しておくのが良いでしょう。
  4. 最善の解決案の詳細を決定する:誰が何を何時までどのように行うかを決めます。詳細が欠けていると、解決案を実行するときに不都合が生じ、後に対立が起きる可能性を高めます。最終案が大まか過ぎないかどうか慎重に検討しましょう。
  5. 解決案を実行する 
  6. 解決案を実行した結果を評価する:解決案を実行した結果、良かった点、反省すべき点、あるいは改善が必要かどうかについて話し合い、お互いのニーズにより合う結果となるように調整します。

交渉が上手く行かない原因によくあるのが感情の管理の失敗です。離婚中の感情の管理は重要な問題です。カウンセリングやサポートグループを有効に利用することをお勧めします。

戸村 みゆきさん PhD, Psychologist

臨床心理学者。1998年、シアトル大学心理学科卒業後、2002年に同大学の心理学科修士課程卒業。2010年、セイブルック大学の心理学博士課程卒業。専門は心理療法とペアレンティングエバリュエーション(Parenting Evaluation/離婚訴訟時の子育て能力審査)。日英両語で、個人、家族の諸問題に幅広く対応。豊かな人間関係を育みたい、自己の可能性を広げたい、健やかで充実した人生を送りたいと望むあなたの心の旅をサポートします。

【住所】 3035 Island Crest Way, Suite 108, Mercer Island, WA 98040
【電話】 (425) 429-2069
【メール】 miyuki@islandtherapy.net
【公式サイト】 www.islandtherapy.net

掲載:2012年6月

コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 このコラムから得られる情報に基づいて何らかの行動を起こされる場合は、必ず専門家に相談するようにしてください。



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