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第7回 離婚を真剣に考え始めたら

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自分たちの夫婦間係が破綻していると感じながらも離婚に踏み切ることができない状態では、不安感や無力さなどさまざまな負の感情が押し寄せ、心身へのストレスも相当なものになります。結婚関係の修復のために自分にできることはし尽くした、という感覚があり、結婚の継続は無理だという感覚が現実的になってきたら、代替案を準備することが賢明でしょう。

「離婚になるかも」「離婚になったらどうしよう」という不安や恐れなどの気持ちを持ち続けながら何もせずただ悶々と時が過ぎるのを待っていても事態の好転にはつながりません。特にワシントン州では夫婦のどちらかが離婚を申請した時点で離婚の手続きが始まりますから、相手が先に離婚という結論に達してもあわてないようにするためにも、また決断できない状態で先が見えないことから来る不安感に対応するためにも、独身に戻ったときに生活に困らないようにする準備を始めることが望ましいでしょう。そのための準備には次のようなものが含まれます。

  • 自分名義の郵便の私書箱を作る
  • 自分名義の銀行口座を開く(離婚の際は申告を求められます)
  • 貴重品の保管金庫を用意する
  • 自分名義のクレジットカードを申請する
  • 新しい携帯電話を入手する
  • 夫婦共同の財産・投資・負債などの経済状況を把握しておく
  • 別居後に住みたい地域の住居の入手状況・価格などをリサーチする
  • 現在無職の場合は職探しを始める
  • 職についている場合は職と能力の保持に努める
  • 自分の生活にかかる経費の把握
  • 浪費を抑え、できるだけお金を貯めておく
  • 家庭内いじめや暴力の被害にあっている場合は安全計画を立てておく(*1)
  • 離婚の法律に関する疑問解決のために弁護士を探す
  • 感情の管理のためのサポートネットワークを確保する

上記の事柄の多くは、離婚という結果にならなくても、社会人として意識しておく必要のある内容です(*2)。婚姻関係における自分の立場と自分が人生において何を求めているかをじっくりと見つめ直すためのご参考になさってみてはいかがでしょうか。

*1 身体を危険から守ることが第一です。シアトル周辺にお住まいで、DV に関するご質問・ご相談のある方は API Chaya(206-467-9976)や Lifewire(前 Eastside Domestic Violence Program)(425-562-8840)まで連絡して下さい。

*2 夫婦共同の財産・負債についての知識は平等な力関係にある夫婦ならば双方が把握しておくべき事柄です。夫婦の家計状況の知識が夫婦のどちらかに偏っている場合は夫婦間の力関係に大きな差が出ます。時としてはすでに精神的 DV の一つの形であったり、別居・離婚申請後の経済的虐待につながったりすることもありますので、もし夫婦の片方が家計の詳しい状況を知らされていないのであれば、その状況を変える必要があるでしょう。

戸村 みゆきさん PhD, Psychologist

臨床心理学者。1998年、シアトル大学心理学科卒業後、2002年に同大学の心理学科修士課程卒業。2010年、セイブルック大学の心理学博士課程卒業。専門は心理療法とペアレンティングエバリュエーション(Parenting Evaluation/離婚訴訟時の子育て能力審査)。日英両語で、個人、家族の諸問題に幅広く対応。豊かな人間関係を育みたい、自己の可能性を広げたい、健やかで充実した人生を送りたいと望むあなたの心の旅をサポートします。

【住所】 3035 Island Crest Way, Suite 108, Mercer Island, WA 98040
【電話】 (425) 429-2069
【メール】 miyuki@islandtherapy.net
【公式サイト】 www.islandtherapy.net

掲載:2012年8月

コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 このコラムから得られる情報に基づいて何らかの行動を起こされる場合は、必ず専門家に相談するようにしてください。

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