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第3回 DV や性暴力の被害者をサポートする「アドボケイト」とは

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DV や性暴力の被害者をサポートするために働いている人たちは、英語で "advocate" (以下、アドボケイト)と呼ばれています。 日本語ではまだ適当な訳がありませんので、とりあえずカタカナ書きにしたものをそのまま使わせていただきます。

アドボケイトと呼ぶことは、被害者の立場に立って被害者の権利を守るなど、被害者を直接サポートすると同時に、コミュニティから女性に対する暴力をなくすために働くということを意味しています。大きな機関では一般のアドボケイト以外に子供のためのアドボケイト(child advocate)や法律面を助けるアドボケイト(legal advocate)がいるところもあります。

被害者への直接サービスの例

  1. 神的サポート: 被害者の話を聞き、被害者の様々な感情をサポートする。
  2. 安全対策(safety plan): その時に応じた安全対策を一緒に考える。
  3. 情報提供・照会: 被害者が今相談したいこと、将来について考えていることなどについて情報を与え、必要な機関を紹介し(シェルター・保護命令・仕事の訓練所・法律的援助機関など)被害者が自分で決めるのを助ける。
  4. 被害者が希望すれば、裁判所・警察・病院などに同行する。
  5. 緊急時被害者に対して、24時間相談に応じる。

コミュニティ・サービスの例

  1. アウトリーチ: 学校、教会、コミュニティ・グループなどで、DV について話をし、DV についての理解を深める。
  2. 情報提供のためにコミュニティのイベント会場でテーブルを設置し、パンフレットの配布や質疑応答を行う。
  3. パンフレットやフライヤーを作り、店頭や掲示板で告知する。
  4. ボランティアの訓練を行う。
  5. コミュニティの他機関とのミーティングや情報交換を行う。
  6. メディアを通して DV に対する理解を深める。

アドボケイトとしては、「自分は DV の被害者ではないか」という疑いがあれば、なるべく早い時期に電話をいただきたいと思います(匿名で結構です)。問題が複雑になる前に、また、ひどいケガなどする前に、DV がどういうものか理解できれば対策を考えやすいと思います。

Asian & Pacific Islander Family & Safety Center (API Safety Center)とは

セーフティ・センターは1993年頃に殺人事件を含む女性に対する暴力事件が多いことを懸念したフィリピン系コミュニティを組織化していく中で生まれました。私のようなアドボケイト以外に、コミュニティ・オーガナイザー(さまざまなプログラムを通してのコミュニティ活動)、ユース&ヤング・アダルト・コーディネーター(高校や大学での DV や性暴力等に関する講演、ユース・グループの指導) ボランティア・コーディネーター(ボランティア・プログラムの運営)、API Men’s Campaign Against DV コーディネーター(API コミュニティで女性に対する暴力に反対する男性たちのキャンペーンを指導)などがいます。

この他、被害者が緊急に現在地から避難しなければならない場合、無料で1週間滞在できるようモーテルを手配したり(子供がいる場合)、シェルターや2~3ヶ月滞在できるアパート(ただし、空きがなかなかない)、低所得者用の住居を探す機関などの照会をするプログラムもあります。

セーフティ・センターで最近増えている仕事は、人身売買(Human Trafficking)に関するものです。同センターのスタッフは他の機関の教育・訓練のために、ワシントン州だけでなく、米国内外まで出張しています。また、一般の機関とは異なり、アジア太平洋諸島系の被害者のための機関であるため、ワシントン州内のどこからでも相談に応じます。日本語で相談できる所が米国内では少ないので、遠くの州から電話がかかってくることもあります。

※同センターは2011年より Chaya という団体と合併し、名称を API Chaya に変更しました。

API Chaya
P.O. Box 14047
Seattle, WA 98114
メール: info@apichaya.org
無料ヘルプライン: 1-877-922-4292

その他の DV 関連機関

シアトル
New Beginnings (住所非公開のシェルターあり) (206) 522-9472
Catherine Booth House (住所非公開のシェルターあり) (206) 324-4943
Catherine Booth House (住所非公開のシェルターあり) (206) 324-4943
YWCA – Downtown (シェルター あり) (206) 461-4882
Refugee Women’s Alliance   (206) 721-3846
イーストサイド
LifeWire(旧称:Eastside Domestic Violence Program) (住所非公開のシェルターあり) (425) 746-1940 または (800) 827-8840

キング郡南部
Domestic Abuse Women’s Network (住所非公開のシェルターあり) (425) 656-7867

スノホミッシュ郡
Center for Battered Women (住所非公開のシェルターあり) (425) 252-2873

その他の地域で最寄りの DV プログラムやシェルターの連絡先をお知りになりたい方は、セーフティ・センターまでお問い合わせください。

掲載:2004年5月

家庭内暴力・性暴力被害者のための日系人専門アドボケイト
ひろこさん

名古屋大学教育心理学専攻。埼玉県児童相談所・東京都下の一般病院・精神科病院などでの心理職・カウンセラー歴10年、インディアナ州立大学で心理学修士、ロサンゼルスでインターン後アジア系ドメスティック・バイオレンス被害者用シェルターに勤務。2003年5月から2004年8月までドメスティック・バイオレンス(DV)の被害者のための非営利団体 Asian & Pacific Islander Women & Family Safety Center(アジア・太平洋諸島出身の女性と家族のためのセーフティ・センター、現 API Chaya)でアドボケイトとして勤務。DV・性暴力などの被害者に直接相談に応じる他、DV についてのコミュニティ教育やアウトリーチに力をいれています。

DV に関する相談所:
API Chaya
P.O. Box 14047, Seattle, WA 98114
【メール】 info@apichaya.org
【無料ヘルプライン】1-877-922-4292
【公式サイト】 www.apichaya.org/japanese

LifeWire(旧称:Eastside Domestic Violence Program)
【クライシス・ライン (24時間受付)】 (425) 746-1940 または (800) 827-8840

※現在、「ひろこさん」に直接連絡できるところはありません。

コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 このコラムから得られる情報に基づいて何らかの行動を起こされる場合は、必ず専門家に相談するようにしてください。

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