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子どもが独立してしまってから、アメリカ生活を楽しめません。

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Studio Mene and Counseling Services
高田 Dill 峰子さん

Mineko Takada-Dill, MA, LMHC, ATR
カウンセリング:
Rockwood Office Park
1409 140th Place NE, Bellevue, WA 98007

アート・セラピー・スタジオ:
7048 27th Avenue NW, Seattle, WA 98117
【電話】 (206) 276-4915
【メール】 info@studiomene.com
【公式サイト】 jp.studiomene.com
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高田さんへのご質問はこちらからお送り下さい。

Q:アメリカ生活は28年になります。日本の両親も他界し、アメリカ人の夫の間にできた一人っ子は、ボストンの大学を卒業し、東海岸で就職しました。子どもが独立してしまってからは毎日何もやる気がせず、何もしないまま一日が終わってしまい、自分が怠け者のようで落ち込む一方です。夫は友達と遊びに出かけたりと人生を楽しんでいるようですが、私は日本に帰国するつもりはないものの、アメリカ生活をもう楽しめません。

A:アメリカでの子育て、本当にご苦労様でした。英語でも “empty nest”(空っぽの巣)といった表現があるように、子どもが独立してしまった後の家庭には寂しい気持ちはつき物かもしれません。ただ、ご相談の感じでは独立した息子さんに近くにいてほしいとか、心配でたまらないというよりは、息子さんを信用しており、独立を歓迎しつつも、ご自分が今後どのように人生を楽しんでいけるのかわからないようですね。

最近アメリカでは白人(ヨーロッパ系)でない赤ちゃんの誕生数がヨーロッパ系の赤ちゃんのそれを上回り、その子どもたちが大人になるころには白人はマジョリティではなくなるとの統計が発表されました。つまり、アメリカはますます多民族国家になるわけです。そのため、昔のように白人の歴史のみを学習したり、価値観を植えつけるのではなく、それぞれの民族が自分の文化や歴史、価値観を認識しつつも、他の民族を理解しつつ、一つの国を作り上げ共存していくことが理想だと思われるようになってきています。そういう視点から見ると、日本人としての価値観を見つめなおし、今後アメリカに住む日本人、または新1世としてアメリカの生活に溶け込むかを考える必要があると思います。これは、日本文化とアメリカを知ることによってアメリカでの自分の居場所を見つける作業です。

アメリカに長くいるからアメリカの生活に順応しているかというと、必ずしもそうではありません。英語が話せるか話せないかだけの問題でもありません。忙しいときはがむしゃらにやらなければならない事をこなしていますが、子育ての終わった今こそ、自己啓発の時かもしれません。

まず、自分がアメリカに来た時の夢やエネルギーを思い出してください。多かれ少なかれ日本でイヤなこともアメリカで何かを試したいと思ったこともあるはずです。次に自分のアメリカの生活を振り返りつつも、太平洋戦争を経験した日系アメリカ人の歴史を学んでみてください。私たちが比較的差別の少ない生活ができるのも、市民権運動やそれぞれの民族がアメリカで生きていくための格闘があったからこそです。この作業によって自分がアメリカで生きていく価値を見つけることができるかもしれません。そして、アメリカだからこそできること見つけてください。それは、起業したり、仕事を見つけたりするといったレベルのものではなく、近くのコミュニティ・センターやシニア・センターでのボランティア、日本語・日本を学ぶためのミートアップのグループ、ワシントン州の自生植物の同好会など、アメリカ社会との接点を見つけるような作業から始めるとよいかもしれません。

掲載:2012年6月

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