ワシントン州認定ソーシャルワーカー
角谷 紀誉子さん
2019年3月15日付で、コンサルティングのサービスは終了しました。
【公式サイト】 www.successabroadcounseling.com
つい最近、夫と死別しました。私たち夫婦はとても仲がよく、お互いにすばらしい人にめぐりあえて幸せな人生を共に過ごせたことに感謝しています。でも最近はお友達もどんどん減り、なかなか寂しくなってきました。自分だけでこのままあと10年も生きるのは嫌だと思い始めました。でも、私はアメリカに永住し、こちらでもシニアと呼ばれる年齢になっていますので、日本に戻る気持ちはありません。しかし、夫がいなくなったことがとてもショックなのです。こんな年になってと言われるかもしれませんが、何もかも一人ではつまらなく思えてしかたありません。
回答:今が一番辛い時です。愛する人を失った喪失感やショックは、なかなか乗り越えれるものではありません。時に、哀しみはあまりにも大きく,潰されそうになったり、涙が止まらなかったり、これがずっと続くのではと怖くなったり、1人で生きていくなんて無理だ、とまで感じるでしょう。しかし、どれだけ大切な人を亡くしたとしても、膨大な時間と涙を経て、哀しみや辛さはいつかは和らいでいくものです。ここで注意して欲しいのは、哀しみや辛さが和らいでも、死んだ人への愛情が薄れたのではない、ということです。これを勘違いすると、いつまでも嘆き哀しむべきだと思い込み、前に進めない状態になってしまいます。
また、今のあなたは、ご主人の死を嘆く上に、この先、生活や精神状態がどうなっていくのかわからない、先が見えない不安と孤独を感じられていると思います。これまで、何十年もの間、結婚生活があなたの人生の形でした。しかし、歳を重ねて行くうちに、配偶者や親しかった友達を失っていくのは、避けられない試練です。昔の理想であった、老後は子供や孫達に囲まれて、という生活はなかなか難しく、高齢者人口の増加や、少子化、子供達が遠くに住んでいるなどで、孤独に年老いていく人が増えているのが現状です。結局、現代シニアの方々にとってのチャレンジは、いかに他人とうまく付き合い、暮らし、有意義な余生を送れるか、ということだと思います。
アメリカに永住した日本人女性は、言葉と文化の壁や、外国での結婚・子育て・仕事などで大変な苦労をされた方がほとんどです。夫のため、家族のために、自分を省みず、一生懸命やってこられた彼女達が今やるべきことは、「遊ぶ・楽しむこと」に尽きるかもしれません。同じように夫を亡くした方達と会ってお話をしてください。そして、一緒に泣いたり笑ったりして、生活に楽しみを少しずつ取り入れていきましょう。シニアの人達の集まりに参加したり、一緒に旅行に行ったりして、新しい人間関係作りに時間とエネルギーを投資してください。
シニアの方の生き方は、その人のそれまでの生き方の集大成です。妻としてだけ人生をまっとうするのではなく、1人の女性として人生をまっとうすることを考えて、これからの人生を送ってください。
掲載:2004年10月
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