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相談「夫に暴力をふるってしまいます」

ワシントン州認定ソーシャルワーカー
角谷 紀誉子さん

2019年3月15日付で、コンサルティングのサービスは終了しました。
【公式サイト】 www.successabroadcounseling.com

約半年前、アメリカ人の夫の仕事の関係と、私の英語力向上のために、アメリカに引っ越してきました。お互い知り合いもなく、すべてが初めてのことばかりで、喧嘩ばかりするようになりました。今ではそれがエスカレートし、私が夫に手を出すようになっています。喧嘩の最中はお互いに言いたいことを言い合っていて、解決の糸口を探すなんてことをしませんし、最後には夫のしたいようになっていることが多々あるので、近頃は自分の意見を言うのが嫌になっています。そして、どうせ言っても分かってもらえないならと、怒りが頂点に達した時(自分の中で溜まっている)、蹴ったり、叩いたりしてしまいます。夫は絶対に暴力をふるいません。私は後になって「悪いことをしたな」と思うのですが、その一瞬は自分を止められないほど夫を憎いと思ってしまいます。過去に1度、通っていた教会の牧師先生にカウンセリングをしてもらったことがありますが、本格的なものではありませんでした。日本に帰って精神病院に入ろうか・・・と考えてみたり、夫に暴力を振るう自分が情けなくなり、自殺を考えたりもします。気を許せる友人はここにはいませんし、日本人と遊びたいともあまり思いません(無料ESLに行っていますので、各国の方と日常会話をする程度です)。私がどこかを改善すればいいのか、それともアメリカが自分にはあってないのか。誰にも相談できずにいます。どうか教えてください。

回答:英語を第二言語とする日本人女性が、日本語を母国語としない夫とアメリカで生活することは、大変なストレスにつながることがあります。そのため、喧嘩をする際、英語を母国語としない方が暴力的になってしまうケースは少なくありません。日本語でも、言い争いになると、自分の言い分を通すために、また、相手を負かすために、相手が一番傷つく言葉や出来事を持ち出した経験はありませんか?頭がカッカしている時に、英語でどの程度まで公平にコミュニケーションができるでしょう。きっと、あなたの思っていることの10パーセントも言えていないのではないでしょうか。言葉で言えないなら、いかに自分が怒っているか、悔しいかを行動で表現するしかなくなります。ののしる・叫ぶ・物を壊す・ドアを思い切り強く閉める・立ち去る、そして、相手を叩く・蹴るというように、あなたのストレスが大きくなるにつれて、行動はエスカレートしていきます。でも、あなたは決して精神病ではありません。小さい子供が言葉で自分を表現できない時、泣き叫び、だだをこねるのと同じようなことなのです。日本からアメリカに来た人の中には、「自分は赤ちゃんみたいだ、何もできない」という無力感を感じる人もいます。あなたは今まさしくその状態にあるのではないでしょうか。

このような場合、そういう状況であることを夫婦で理解することがまず大切です。そのためには、気持ちが落ち着いている時に、日本語で次の項目について書き出してみる必要があります。一つ目は、どうしてあなたが怒っているのか・悲しいのか。二つ目は、どうしてあなたが失望しているのか。三つ目は、何が怖いか・恥ずかしいか、また、何を後悔しているか・謝りたいか。そして、最後に彼への愛情や感謝の気持ちを書いてください。全部書き終えたら、それを英語に直し、彼に読んでもらってください。とにかく、自分の気持ちを言葉にすることが、問題解決への第一歩なのです。

次に、あなたにとって居心地の良い場所をアメリカにも作っていく必要があります。ご質問には、友だちもなく、ESLで日常会話をする程度と書かれていますが、このままでは孤独感と自己嫌悪でストレスがさらに溜まっていってしまいます。この際、自分への投資と考えて、あなたの学びたいものを英語で学んではどうでしょう。英語そのものを学ぶのに加え、何かの科目(たとえばアートやコンピュータなど)を英語で学ぶことで、あなたの英語力はさらに伸びていきます。よく「英語なんて1人でも、学校に行かなくても学べる」と言いますが、アメリカにいる以上、英語は生きることに必要不可欠な手段であり、趣味や片手間で勉強するという気楽なものではありません。外に出て、英語で何かをしていくことで、世界が広がり、友だちもできていくはずです。もちろん、日本語で話せる日本人の友達も必要だと思います。日本にいる友だちほど親しい人はできないかもしれませんが、それでも自分の言葉で話ができる人を少しずつ見つけていきましょう。

また、ケンカや問題が大きくならないうちに、二人でカウンセリングに行くことをお勧めします。何人かのカウンセラーに会ってみて(短いインタビューみたいなものでも良いです)、二人があうと感じた人を選んでください。できればバイリンガルの人が良いと思います。あなたは日本語で話し、彼は英語で話すことで、公平な意見の交換ができるからです。そして、1回だけでなく、とことん話し合いができるようになるまで続けてみてください。学校に行くのも、カウンセリングに行くのもお金がかかります。しかし、彼との結婚生活を幸せなものにするためには、必要な投資であると思います。

掲載:2002年6月

コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 このコラムから得られる情報に基づいて何らかの行動を起こされる場合は、必ず専門家に相談するようにしてください。



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