ワシントン州認定ソーシャルワーカー
角谷 紀誉子さん
2019年3月15日付で、コンサルティングのサービスは終了しました。
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私は夫ととても仲がよく、平日は仕事で忙しくてあまり話す機会がないため、週末に二人で過ごす時間を作るようにしています。結婚してから既に6年たっていますが、自分では友達とも家族ともバランスよくしているつもりです。でも周りには「そんなに旦那と時間を過ごすのはおかしい」「自分では仲がいいと思っていても実はそうじゃないかもよ」という日本人の人も数人いて、そういう人たちは週末に電話してきて私たちが不在だったり、二人で家でくつろいでいると「友達をないがしろにしている」と言います。何を言われても私は私と思っていれば良くて、そういう人は本当に良い友達ではないとわかっていても、やっぱりストレスがたまります。夫と仲がよいことを悪く言われるなんて思ってもみませんでしたし、私と夫しかわからない特別な絆を「本当はそうじゃないかもしれない」と言われるなんて理解できません。「人は人、私は私」とできない場合、どのようにしたらよいでしょうか。
回答:あなたのお友達を「日本人の友達」と言われるので、あなたがアメリカに住んでいらっしゃると仮定して話を進めます。
アメリカの結婚観は日本のものと大きく違います。アメリカでは、結婚しても会話や一緒に過ごす時間を大切にして、パートナー同伴で職場のパーティに招待されたり、結婚後も「お互いを愛している」ことが基本です。
日本は、結婚前は彼・彼女の誕生日に仕事を早く切り上げて帰ったりしますが、結婚後はそういうことは一般的ではなく、「仕事だから」と、プライベートは後回しにされます。「仕事」が2人の時間や会話よりも優先される社会で、職場の宴会に配偶者が招待されることもありません。結婚後は一緒に過ごす時間は一気に減り、それぞれが仕事と家庭・子育てという役割を遂行する共同体になります。「愛している」という言葉はほとんど使われず、「夫婦なんだから」とか「言わなくてもわかるはず」と言って、愛情表現はあまりしません。だから、「亭主元気で留守がいい」、つまり、「夫は仕事で毎日遅く、週末も接待ゴルフで不在。その間、妻は家を守る。だから、当然、夫は同僚や上司と過ごす時間が多く、妻は子供や女友達と過ごす。お互いと過ごす時間はほとんど無い。それが普通なのだ」という家庭像ができあがるのです。
あなたの場合はアメリカ的結婚をされているようで、お友達の状況はここには書いてありませんが、彼女達は日本的結婚のようです。結婚相手が日本人であってもアメリカ人であっても、日本人女性は一旦結婚して家庭に入ると、根強い日本的結婚観が頭をもたげて、愛情表現を嫌がったり、夫とパーティに出席するのを避けたり、夫との会話が少なくなったりする人がいます。そして、女友達と話をする方が楽しいし、日本語で話せるし、わかってくれるから、と日本人友達とベッタリという状態になります。また、結婚しているのに愛情を求めたり、仕事よりも一緒にいる時間を大切にしようとする夫に違和感や頼りなさを感じたりもします。彼女達からすると、アメリカ的結婚をしているあなたが理解できないのです。
そこで、質問は、あなたにとって彼女達との関係はどういう意味があるのかということです。アメリカで知り合った、貴重な数少ない日本人友達なのでしょうか。それとも、小さな日本人コミュニティができていて、そこに入っていなければ嫌われるからでしょうか。確かに、アメリカで知り合う日本人は少なく、その中で友達を作るのは簡単ではありません。だから、あなたがストレスを感じても、彼女達と友達関係を続かせようとする気持ちはよくわかります。夫とうまく行っていても、友達も人間の幸せのためには必要だし、母国の文化や言葉に触れる機会も必要です。でも、本当に理解しあえて、楽しい時間を過ごせなければ、その人間関係はあなたにとってプラスになるのでしょうか?日本語や文化に触れられる機会を他で探したり、日本人でなくても、わかりあえて、気が合う人と友達になる方が、よっぽどあなたのためになると思います。今一度、彼女達との関係を見直して、何があなたにとって大切なのかを考えてみてください。
掲載:2003年5月
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